・ ページ2
私は司さんが好きなのに、彼の好意を受け取ることができない。あなたのような素敵な人が、こんな私を好きにならないでほしい。
そんなのただのエゴだ。だというのに、彼を巻き込んでしまった。重い感情も軽い感情も、感じた全ての思いがぐちゃぐちゃに混ざり合って、頭がおかしくなっている。
「いっそ嫌ってください。嫌われて当然です。私は」
言い終わらないうちにそっと頬に手を当てられて、司さんに引っ張られる。シトリンのような瞳が熱を帯びてこちらを向いていた。目をそらすことは許されない。
まるで映画のワンシーンのようだと思ったが、実際のところ逆だった。ここに観客はいないし、彼は今ステージの魔法が解けたただの人間だ。私たち二人にスポットライトが照らされるわけでもない。それでも、それでも彼は、まるで台本を読み上げるように美しいセリフを吐く。
「それでも、お前を愛している」
その輝きはあまりにも強く、ああやっぱりこの人は人間じゃないのかもしれない、なんて。
その言葉が脳に溶けていくまでさほど時間はかからず、溶けきった瞬間また涙が出た。
彼の腕に抱かれ伝わってくる体温と匂いに、また幸福がこぼれ落ちて、心が愛おしいと叫んでいる。
私も彼に抱かれることを許して、腕を背中に回す。すると抵抗されるどころかよりいっそうハグが強くなり、愛されている、と思う。
こんなことを許されてしまった私は、いっそこのまま消えてしまえばよかった。消えてしまいたかった。
ケーキの味を知らないまま/神代類→←Unfortunate Ikaros/天馬司
4人がお気に入り
「短編集」関連の作品
この作品を含むプレイリスト ( リスト作成 )
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
あきまる(プロフ) - ょむむむさん» コメントありがとうございます!このえななんは私も気に入ってます💕💕 (9月20日 20時) (レス) id: ed0e33f0ac (このIDを非表示/違反報告)
ょむむむ - えななんが最高にえななんらしくて好き!!かわいい💕更新頑張ってください! (9月20日 20時) (レス) id: 946b79f9ed (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ