なな ページ7
彼が近づいてくる。後退りはしない、離れても意味がないから。彼は私の前で止まって、私の手を握って、目をキラキラさせて、きれいだと思って……え?
「君の走りに感激したんだ!ぜひ僕の演出に取り入れたい!」
「……はい??」
急に何を言い出してるんだ、この人。
「君の走りをデータにとれば、きっとショーの幅が広がる。例えばそうだなぁ、動かない甲冑が突然動き出して、人一人抱えて暴れ回るというのはどうだろう!僕自身が体験者だから再現は楽だろうし、さっそく今日から開発に」
「待て待て待て、ショー?え、なに?」
理解が追いつかなかった。いきなり近づいてきたと思ったら、ショーだのデータだの。ていうかお前のテンションどうなってんだよ。
そんな私をおいて、神代くんは一人納得したようにうなずいて、掴んだ私の腕を引っ張った。
「そうと決まればさっそくデータをとりに行こう!Aくん!」
「はあ!?ちょ、痛い痛い痛い。おい!!??」
変人ツーの名は伊達じゃなかったらしく、行動力がなんとえげつないことか。驚きの気持ちは、そろそろ冷めてきたまであって。
「(あぁ、もうなんでもいいや……)」
また夏は終わらないらしい。
その事実から目を背けるように、ただ足だけ動かした。
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あきまる(プロフ) - チョコムースさん» 👍👏🎉🎉🎉🎉 (7月15日 21時) (レス) id: ed0e33f0ac (このIDを非表示/違反報告)
チョコムース - ああああああああああああ嬉しいいいいありがとうございますありがとうございます (7月15日 19時) (レス) @page10 id: 946b79f9ed (このIDを非表示/違反報告)
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