きみに花束は渡せない【進撃の巨人】 (ページ24)

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すでに脱落してしまった人たちを開拓地へ送る馬車が通り過ぎていくのが見えた。

(まだ初日なのに…)

あんまり見つめすぎていたせいか、1人と目が合いそうになって慌てて逸らした。

すると代わりに、マルコというそばかすが特徴的な男の子と目が合った。

｢そういえば君たちは出身とか聞かれなかったけど…｣

するとエレンはわたしとアルミンの肩に手を置いた。

｢俺たちはみんなシガンシナ区だ｣

｢そうだったか…それは…｣

エレン、アルミン、それからわたしの表情は柔らかいけれど、反してマルコの顔は強ばった。

しかし、コニーの顔は強ばっているというよりは

興味津々という感じだった。

｢てことはよ…その日もいたよな｣

｢お、おい！｣

｢見たことあるのか！超大型巨人！｣

｢あ、ああ…｣

エレンはなんだか戸惑ったように返事をした。

確かに無理もない。

シガンシナ区の住人はずっと憲兵にぞんざいな扱いを受けていたし、あの日の話に興味を示す人なんていないと思っていたから。

｢なあ詳しく聞かせてくれよ！｣

せがむコニーの声をかき消すように中から夕飯の知らせが聞こえた。

入るなりコニーが大きな声で｢こいつら超大型巨人見たらしいぞ！｣と言い回る姿をみて、わたしたちはそっと目配せした。

それから、わらわらと集まりだした人だかりに呑まれていくエレンを、アルミンと苦笑いで見送った。