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ぐるぐると回る不信感を停止させたのは、先程の憲兵団の男だった。
｢なんで他所もんのために俺たちの食料を！｣
それは職業を抜きにしても聞き捨てならない言葉だった。
｢どうせ巨人が壁を越えたんなら、もっと喰って減らしてくれりゃあ良かったんだよ｣
その言葉に誰よりも過敏に反応したのはエレンだった。
アルミンの制しも虚しく特攻する。
｢これじゃ食料不足がひどくなる一方だぜ｣
それを聞き終わるか終わらないか…
エレンは彼の脛を思いっきり蹴った。
｢いってぇ…なにすんだクソガキ！｣
すかさず飛んでくる拳を見事に喰らったエレンに、もう1人の兵士も加勢する。
それでも倒れ込んだエレンは負けない。
｢知らない…くせに｣
｢あ？｣
｢お前なんか見たこともないくせに！｣
ギャラリーが集まってきてしまった。
マズイ……これは…わたし的に…………
｢巨人が…どうやって人を……！｣
再び拳を握りこんだ兵士を止めたのはやっぱりアルミンだった。
｢ごめんなさい！お腹がすいてイライラしてたから！…だから大人の人に、こんな失礼なこと…｣
アルミンが弁明を始めると、ミカサがエレンの傍につく。
｢本当にごめんなさい！｣
そうやって頭を下げると、兵士はギャラリーの視線に耐えられなくなったのか
｢お前たちが飢え死にしないで済むのは俺たちのおかげなんだぞ！｣
｢子どもだってそれくらいの感謝の気持ちを持つもんだ！｣
捨て台詞を吐いてバツが悪そうに去っていった。
ああ、こうやって3人は生きてきたんだな。
なんでも無謀に突っ込むエレン
それを心配して支えるミカサ
場をうまく運び危害に及ばないよう納めるアルミン
ほとんど無意識に行われる連携が
ちょっとだけ、羨ましかった。
たぶんエレンがもう少し慎重なら、しなくてもいい連携なんだろうけど。
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作者名：餃子 | 作成日時：2021年5月23日 4時
