わがまま ページ45
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「とにかく、モモちゃん、よかったね」
すこしだけ薄暗い、昼下がりの国語準備室。
「先生、最後に、わがまま言ってもいいですか?」
「ん…オレができることなら」
ねえ、ずるいって。
「最後に、ぎゅって、してほしいです」
松村先生の動きが止まった。
「そう…ね、うん、いいよ」
"おいで"と腕を広げた。
そんなのを望んでるんじゃない。
最後だから、もうちょっとわがまま聞いてよ。
静かな空間の中で、
わたしの声だけが空気を切る。
「先生が、来てください」
「え、オレ?」
「はい」
「じゃ…じゃあ、失礼します…」
「ふふっ」
「何笑ってんの、」
「だって、」
その瞬間には、先生の腕の中で
先生の匂いに包まれて
心臓はうるさいくらいに鳴っていた。
ぐっ、と引き寄せるような
手のひらの温度を背中で感じて、
はあ、というような息遣いを
首元で感じて、
先生の鼓動を、胸で感じた。
先生のほうが背が高いから
上から、包み込むようにぐっと持ってかれる。
心臓ごと。恋心ごと。
「モモちゃん、まだ俺のこと、好き?」
なんて答えるのが、正解ですか?
難しいってば。
こんなに難しい問題の解き方、教えてもらってないよ。
行間、読めないって。
でも、考えるまでもなく「好き」の一言がこぼれ落ちてた。
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つき(プロフ) - たかっち(葉月)さん» ありがとうございます〜〜!!( ; ; )ドキドキしてくださってるなんて、とてもうれしいコメント…お待たせしていて申し訳ないですがどうぞこれからもよろしくお願いします (2021年2月11日 2時) (レス) id: 7ed4157c8a (このIDを非表示/違反報告)
たかっち(葉月)(プロフ) - とてもドキドキしています。久しぶりにこちらのサイトで目に止まったのがこちらの作品でした。上手く言えませんが、とにかくすごくドキドキしちゃってます!北斗担なので、余計かな・・・笑更新心待ちにしています (2021年2月6日 16時) (レス) id: 2cfc0e60bd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:つき | 作成日時:2021年1月25日 0時