小田島有剣の7番目の女 (ページ10)

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09 小田島side ページ10

翌日、目が覚め、すっかり熱も下がったようだ。取り敢えず次の女の所へ行かなければいけないので、ベッドから起き上がりリビングを通って、彼女がいるキッチンを覗いてみると、彼女が俺に気づいて顔を向けて笑顔で挨拶してくれた。

それに対して、看病させてくれた礼を言って軽く手を振り、その場を去った。

『あ、おはようございます。顔色良さそうで何よりです』

｢おはよう、昨日はありがとね。……じゃ俺行くから｣

『まだ病み上がりなんで気を付けてくださいね、いってらっしゃい』

彼女は心配していたが、きっとどうって事ないだろう。そう思っていた。だが次の女のところへ行って暫くすれば、ふらふらして、熱っぽい気もする。この女は面倒臭いからこいつにだけは看病されたくない。

「俺、今日帰るわ。……じゃあな」

「え、ちょっと有剣！？」

女の返事を全く聞かず、家に帰りそのままベッドへ。熱いし、しんどい、息が苦しい。その時に頭に浮かぶのは、7番目のあの子。……いや女なんて結局一緒だ、と頭の中の考えを消した。

そのまま寝てしまい、翌朝になる。身体はだるいが、流石に熱は引いたようだ。

一週間経ち、また土曜日に。この一週間は別の高校と揉め事があり、情報集めに今日は喧嘩で休む暇が無かった。喧嘩は体力も消費するし疲れる。今日も行くことだけいつものように連絡をしてから向かった。彼女の部屋に入るなり、彼女は心配そうに俺の傷を見つめていた。

『前回より酷いし……手当てしましょうか？』

「そういうのいいって、前言ったよな？……二度も同じ事言わせないでくれねぇか」

『……ごめんなさい、一応ここに救急箱置いておくから、必要な時に使って下さい』

話し掛けられたが、喧嘩終わりで疲れてイライラしていたため、行き場のないストレスで彼女に当たってしまう。彼女は申し訳なさそうな表情をすると、寝室のベッド近くの机に救急箱を置いて、寝室から出た。俺は彼女とすれ違ってベッドで寝始めた。

翌朝になり目を覚ます、昨日は疲れててそのまま寝てしまったのか。昨日の傷が少し痛むが、放置してても治るだろう。

『おはようございます、もう行くんですよね？』

「おはよう。……そ、もう行く。じゃ…」

『いってらっしゃい』

彼女と適当に挨拶をかわして出ていった。先程の彼女は寂しそうな表情をしていた。その日はずっと、彼女の表情が頭から離れなかった。