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38 轟side ページ39

ここ一週間Aを避けていた。電話も掛かってきたけれど、出る気にならなかった。Aが本当に浮気していたら……彼女から浮気という事を聞くのが嫌で、別れるなんて事になるかもしれない。俺の何かが悪かったんだろうか。思えば、付き合った当初は彼女を傷付けていただろうし、今更彼女のことをどれほど愛しても駄目だったのかもしれない。



彼女に遭遇したくないので、彼女が絶対に来ないであろう鬼邪高校の放送室で時間をずっと潰していた。彼女がいない日常はとてもつまらないもので、時間も長く感じられる。一週間経っても音沙汰が無いので、俺はもう必要ないってことなのか。



いつもの様に、放送室で本を読んで時間を潰していると生徒達の会話が聞こえてきた。





「おい、辻と芝マンが女連れて校内歩いてるってよ!」


「女ぁ!?」


「おい。その話詳しく聞かせろ」




俺は咄嗟に話をしている奴の肩を掴み声を掛けた。俺に話し掛けられて驚いている様子だったが、すぐに説明してくれた。そいつら曰く、黒髪でポニーテール、どこかの高校の制服を着て、辻と芝マンを連れて歩いている、とのことだった。


絶対にAだ。何でこんな所に。怖いはずなのに、俺と話をする為だけに来たのか。階段を駆け下りて彼女を探す、やっと見つけたと思ったら、楓士雄達と話していた。





「えっ、ええ!?この人があの、轟さんの彼女っすか!?……羨ましすぎる…!」


「そいや、何でここにいんの?」


『ええと、諸事情で洋介に会いに……』


「それなら、もう後ろに…」


『え?……!?』





話している声を聞きながら、Aの腕を引いて、倒れそうになる彼女を優しく受け止めた。ジャム男が彼女のことで盛り上がっているので、軽く眉間に皺を寄せて牽制しておいた。






「俺もAに用事あるから連れてくわ。……二人で話すから、放送室にお前ら来るなよ」


「おう、ドロッキーまたな」





彼女の手を引いてそのまま放送室へ向かった。不良が怖いはずなのにわざわざここへ来るということは、彼女もちゃんと話すことがあるという事なのだろう。だけど、俺の危惧している事をその口からこの後もしかしたら発されると思うと、少し足取りが重くなってしまうのだった。

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可愛。(プロフ) - 小松ミナさん» どういたしまして´`*! (2022年10月24日 18時) (レス) id: fdd7cf983f (このIDを非表示/違反報告)
小松ミナ(プロフ) - ありがとうございます。またチャレンジしてきます! (2022年10月24日 17時) (レス) id: f4f49d3608 (このIDを非表示/違反報告)
可愛。(プロフ) - 小松ミナさん» それは良かったです´`*はい、プロフコピーで大丈夫かと!念の為検索できるか確認してきたので、大丈夫だと思います!◎ (2022年10月24日 16時) (レス) id: fdd7cf983f (このIDを非表示/違反報告)
小松ミナ(プロフ) - ハイ(//∇//)しかもまたお話更新で、朝から気持ち上がりました⤴︎ありがとうございます♡あと、Twitterお邪魔したいのですが見当らなくて…プロフ記載をコピーで大丈夫ですか?そちらの洋介さんも読みたくて(๑˃̵ᴗ˂̵) (2022年10月24日 6時) (レス) id: f4f49d3608 (このIDを非表示/違反報告)
可愛。(プロフ) - 小松ミナさん» 確かに、こんな助けられ方するならいいですよね´`*最初は村山さんに全て助けてもらおうと思ったんですが、ここは轟に助けてもらった方がいいかなとおもってそうしました!そして村山さんには受け止めてもらう係になってもらいました、ときめきますよね❀. (2022年10月24日 0時) (レス) id: fdd7cf983f (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:可愛。 | 作成日時:2022年9月29日 14時

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