轟洋介の彼女さん。

21 過去編 ページ22

一週間、また一週間と何故かたまたま毎週、轟くんを見掛ける様になり、その度に声を掛けた。最初はぶっきらぼうな感じだったが、慣れてきたのか、それとも諦めたのか普通に会話してくれるまでになった。



たまに怪我もしていて、轟くんがやられるなんて相当な相手なんだろうなと想像はするが、敢えて何も言わず詮索せず、釣りをしてる彼を見ていたり、たまに帰り道をついて行ったりするくらいだった。



そうやって過ごしていたら、私は彼に惹かれているんだな、好きなんだなと気づいた。ある日、轟くんに意を決して告白してみた。




『私、轟くんのこと好き。…良かったら付き合って下さい』


「……よろしく。その代わり俺の邪魔はすんなよ」




少し考える間があり、好きとも言わず、どういう意図なのか全く読めないが、取り敢えず了承されたという感じの印象だった。その時にやっと連絡先を交換してもらった。




『ちなみに…デートとかは……』


「俺の気が向いたら、迎えに来てとかそういう面倒なのも受け付けて無いから」


『……分かった。じゃあもし、デートとかなったりしたら現地集合でそれでいい？』


「ああ。……じゃ、俺は帰るから」



付き合いたてなのに、何故か距離を感じるのでモヤモヤしつつ、付き合えただけいいのかと自分を納得させ、彼と反対方向の道を歩いて帰った。



それからというものの全てのデートを却下される。



轟無理
轟だるい
轟却下
轟予定あるわ



あの手この手で全ての誘いを断られてしまう。なので、付き合う前と同じくらいの頻度で、彼が一人の時を見計らって接触するしかなかった。



ある時は目元を怪我していたり、ある時はご機嫌ななめ、生傷を作ることも多くなった気がする。私は怪我している時でも機嫌が良くない時も詮索せず、手当てしたり、関係ない話をしたりした。



そんなある日急にデートに誘われた

轟明日、出掛けるぞ
A分かった!


その後電話がかかって来て、明日の予定をつらつらと言われすぐにメモした。轟くんから誘ってくれるの珍しいなと思いながら私はその日、明日に備えて早く寝ることにした

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