妄想アクアリウム 【フィッシャーズ】

ダーマの気持ち２ ページ13

「目、合ったね」

Aがそんなことを言うから、思わずそらしてしまう。

でも、次の瞬間。

「い、嫌」

コントローラーを拾おうと伸ばした俺の手を、Aが握った。

そしてもう片方の小さな手で、俺の顔をもとに戻した。

今度はAとパッチリ目が合って、そらすことができなかった。

「ご、ごめんね。初めてちゃんと目が合ったから嬉しくて」

ダ「あ、ああ…」

あんまり可愛いことは言わないでほしい。

でも、そんな俺の願いは叶わなかった。

Aはまた口を開く。

「ダーマはいつも、私と話してくれないから……」

ダ「そ、それは‼…お前が俺とは話そうとしねえから」

「……え？」

勢いで言ってしまった。

ダ「わ、悪ぃ」

「ううん。……私も、ダーマに話しかけるのちょっとためらっちゃうときあるし」

ため、らう…？

「ダーマって、すぐ『うるせぇ』とか『うぜぇ』とか言うから」

そうか。

「下手に話しかけたら、嫌われちゃうんじゃないかって」

そうだ。

Aが俺に話しかけないのは、俺のせいなんだ。

ダ「A」

今度は俺がAの顔をこっちに向かせて。

ダ「ごめんな」

呟くように言って頭を撫でてやる。

気持ちよさそうにしているのを見て、猫みたいだと思った。

ダ「A、一度しか言わねえからよく聞けよ」

「うん」

ダ「…だ、いすき、だぞ」

「……」

ダ「……」

「……」

ダ「……」

「もう一回」

ダ「言わねーよ、バカ」

終

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作者・猫の大村より

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