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05 圧倒的快感の匂い ページ7






"サッカーしようよ、俺と"


その言葉に士道は嬉々として頷いた。

士道にとってサッカーは生きる行為(いきること)であり、それは好きという生温い言葉では語り尽くせない。他人から暴力的だと言われることがある自分のプレーにも自信があるし、それを当然気に入っている。点を取る快感は他の何にも代えられるものはない。けれど、自分より強い者と戦うことも味方として肩を並べることも好ましいと思う。自身がゴールを通して快楽を得るのが一番ではあるが、それとは別に強者を素直に認められる性でもあった。

身体中の熱が昂って自身の中で何かが爆ぜるその感覚は心地良いしその場その時に強い人間が正義だからだ。



天使(コイツ)と俺、どちらがこの場の正義なのか比べたいと純粋に思った。自身の中で何ががふつふつとわきあがる音がする。それが何かは分からないが恐らく滾っているには違いなかった。

相手を一瞥すれば柔和なのにそれでいてどこか鋭い天使の視線に士道は息を呑む。



「​────ハハッ、良い顔♡」

ぞくりと背筋を震わせる快感に思わず己の唇を舐めた。精々楽しませてくれよ、と投げかけた言葉に天使は曖昧に笑うだけだった。








「どう、楽しんでもらえた?」

全身の疲労感からフィールドに寝そべった士道に対して肩で息をするものの涼しい顔をした天使。​───結果は一目瞭然だった。

士道が考えうる快楽の匂いがするポイントには必ずこの男が立ち塞がった。プレー中ずっと自身の考えを全て見透かされているような居心地の悪さを感じたのは勿論、見透かした上でそれを可能にするフィジカルの強さを嫌という程思い知らされる。慣れ親しんだボールは彼に傾き、天使を惑星としその周りを衛生のようにぴたりとくっついて体の一部のように踊っていた。スピード、ボディバランス、ボールコントロール、全て丁寧に磨きあげられてきたことがわかる程に完成されている。スピードの緩急を上手く使ったドリブルは今のサッカーに置いて花形とは言い難いスタイルだが、それが何とも美しく、また相対したくないと思わせるには充分で。



どこが天使だ、この男はそんな生易しいものではなかった。

込み上げたのは悔しさと、熱と、快感。士道の中で何かが音を立てて爆ぜる。



「気持ち良かったでしょ、ねえ士道くん」


負けたのに、悔しさより快感が勝った。それが士道の天使に対する評価の全てだ。


「フフ………あァ、最高だな」


差し出された手を掴んで、士道は天使を地に引き摺り降ろした。これが欲しい、と初めて思った。

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もこ(プロフ) - 初コメ失礼します。私男主の愛され大好物なので嬉しいです!ブルロのキャラ全員推しなので嬉しいです!ビーコンレタスも好きです()更新頑張ってください! (2023年5月5日 17時) (レス) id: 79dfdf41ef (このIDを非表示/違反報告)
真昼 - めっちゃ好きです!続きが楽しみです\(//∇//)\ (2023年2月2日 16時) (レス) @page3 id: 94c427d0c3 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - この時点で天使くんの設定が練りに練られてて最高です😭😭更新楽しみにしております…!! (2023年2月1日 22時) (レス) id: aa78decd84 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:國枝 | 作成日時:2023年2月1日 18時

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