8話 ページ8
「いただきます！」
近藤さんの合掌で食べ始めて早速、目の前では永倉さんと平ちゃんのおかず争奪戦が繰り広げられている。
「昔からだけど見てて飽きない…」
「毎回毎回うるせえんだよ、ったく」
わりと本気になってるのがまた面白くて、無意識に箸を止めて見てしまう。
「油断してると危ないぞ」
「えー、そんなまさか私は…って！」
一くんに言われて何気なく自分の膳を見てみると、なんかおかずが増えてた。
減るんじゃなくて増えるって、しかもおかずと言っても一部の野菜だけって！
「総ちゃん嫌いなもの私の膳に入れたでしょ！」
きっと隣を睨んでやると、すまし顔の総ちゃんがいる。ねえ、そのくせにちょっと口元がにやついているの、ばれてんだからね。
「何のこと？Aの気のせいじゃない」
「人参もちゃんと食べなさいひょろっ子がぁ…！」
「僕ひょろくないしー。Aこそ食べないと付くところに肉が付かないよ」
「何ですって………！」
「総司、あまり火に油を注ぐな」
今、おかずを奪い合う戦いの対岸で、おかずを食べさせる戦いが始まるーーー！と、その時。
「騒がしすぎるだろお前らァ！！」
土方さんという名の落雷が落ちた。
夕餉が終わり、私は千鶴ちゃんと一緒にお風呂へ入らせてもらうことになった。
「背中流すね」
「ふふ、ありがとうございます」
千鶴ちゃんのお肌はすべすべで、珠のように白い。…本当に、男装が勿体ないなと思ってしまうくらい。
「どうかしました？」
「…男装勿体ないなあって」
思ったことを素直に口にする。この子が屯所にいる理由は聞いたけれど、それでも年頃の女の子がこの窮屈な生活を強いられているのだと思うと心苦しい。
｢ふふ。結構、慣れちゃいました。…それより、私にもお背中流させてください｣
何でもないように笑う千鶴ちゃんの本心は分からない。
事情が事情なのだから、あまりしつこく言うのも違う気がしてその話題を終えた。
「まるでお姉ちゃんができたみたい」
「お姉ちゃんに見える？」
「あっ…！ごめんなさい、失礼な事言いましたよね？」
背中にぽつりと呟かれた言葉は、私に聞かせる予定ではなかったらしい。最初に出会った時から思っていたけれど、この子は少し天然…いや、素直だ。
私は慌てて謝る千鶴ちゃんを止めた。
「ふふふ！こんな可愛い妹なら大歓迎だよ！」
「きゃあっ！」
振り返ってぎゅうと抱き着いてやる。突然の抱擁に困惑してるのか千鶴ちゃんの顔は赤くて、余計に愛らしさを感じる。
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あめ(プロフ) - 帰蝶さん» ありがとうございます…！私が泣いて喜びました；；；；コメで元気もらえました、頑張ります！ (2021年7月23日 10時) (
レス) id: c4879c790e (このIDを非表示/違反報告)
帰蝶(プロフ) - 初めまして！とても面白かったです！沖田さん好きなので是非お時間ある時に続きを書いていただけますと泣いて喜びます！陰ながら応援しています！ (2021年7月20日 1時) (レス) id: 8097c0e74f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：あめ(雨星) | 作成日時：2021年4月26日 9時
