7話 ページ7
「千鶴ちゃんごめんねえ…」
「いえ、沖田さんの部屋に比べたら狭いかもしれないですけど、良かったら」
「ううっ…きみは仏様かな……!」
結局あの後。お茶を持ってきた千鶴ちゃんを見て、土方さんが「ならこいつの部屋でいいんじゃねーか」と言ったことから、千鶴ちゃんの部屋にお世話になることに決まったのだった。
「Aさんが来てくれて、何だか新鮮な気分になれて嬉しいので」
そう言って微笑む彼女の姿は正しく、いつか西洋の本で見た大聖母のよう。
うわぁーん、大好きになりそう。いや、好き。
「…些か顔が緩みすぎではないのか」
「一くん!?なんでいるの」
「ここは新選組の屯所なのだから俺がいるのは当然だろう。…夕餉の時間だ」
いつから見ていたのだろうか。斎藤一…もとい一くん。彼は気配を消すのが上手いから、本当に気付かなかった。
両頬に手を当てて、緩み具合を確認してみる。…うん、まあ…結構、緩んでましたね。
一くんに連れられて行った広間には、私の見知った顔ぶればかり。近藤さん、土方さん、井上さん、永倉さん原田さん…
「平ちゃんじゃーん!」
「おうA!ひっさしぶりだな!元気してたかよ!」
「元気だよ!にしてもこの口は変わらず生意気だなぁ!私の方が年上なんだからね!」
「そっちこそ変わんねーな!一つしか変わらねーくせによく言うぜ!」
平ちゃんこと、藤堂平助。彼とはこうして昔から張り合っている。
「ほら、お前ら!飯が冷めちまうからとっと座れ!」
「はーい」
どこに座れば良いんだろうと見回すと、総ちゃんが「Aはこっち」と呼んでくれた。
「あれ、山南さんは?」
総ちゃんの隣に座ってからいない人影に気付いた。尋ねるけれど、誰も返事をしてくれない。
「ねえ総ちゃん」
「総長なら遠方に出張中だ」
総ちゃんが答える前に一くんがそう告げる。
「当分は戻ってこない」
「そう…間が悪かったなあ」
「…山南さんが戻ってきたらAが会いたがってたって伝えておくからさ、元気出せって」
「うん、山南さんによろしくね」
平ちゃんの気遣いに素直に甘える。
ここに来れば皆に会えると思っていたけれど、そう上手くはいかないものだ。少し残念だけど、仕方ない。
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あめ(プロフ) - 帰蝶さん» ありがとうございます…!私が泣いて喜びました;;;;コメで元気もらえました、頑張ります! (2021年7月23日 10時) (レス) id: c4879c790e (このIDを非表示/違反報告)
帰蝶(プロフ) - 初めまして!とても面白かったです!沖田さん好きなので是非お時間ある時に続きを書いていただけますと泣いて喜びます!陰ながら応援しています! (2021年7月20日 1時) (レス) id: 8097c0e74f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あめ(雨星) | 作成日時:2021年4月26日 9時