5話 ページ5
「あれ？なんか仲良くなってない？」
それから暫くして帰ってきた総ちゃんが最初に言った一言はそれだった。
「お友達になりましたのよ。ふふ」
「ふーん、良かったね」
総ちゃんはそれだけ言って少しだけ笑う。
それよりも、先の現場で不逞浪士を数名捕らえたということで、私達はこのまま屯所へ戻ることになった。
「一番組、巡察から戻りました」
初めて潜った屯所の門。思っていたよりも大きくて立派な場所だった。
総ちゃんの声に気付いた誰かが歩いてくる。難しい顔をしながら腕組みをしてる、あの人は…
「ご苦労だったな、総司」
「巡察中、浪士を捕まえたので連れ帰ってます。あと、コレも」
コレ。そう言って私を前に出す。とってきた動物みたいに出すなんて、酷くない？と思いつつ。
「土方さん、お久しぶりです！」
「な、A！？お前、何で京なんかにいるんだ」
「えへへ、来ちゃいました」
驚いている土方さんの前で、頬をかく。何も言ってなかった為、きっと怒られるだろうなと予想していた。特に土方さんに。
「ん、懐かしい声が聞こえると思ったらAか」
「原田さん！永倉さんも！わー、懐かしい！お久しぶりです！」
奥から顔を出した二人の姿を見て、思わず笑顔になってしまう。
私は女だけど、幼い頃から足繁く試衛館に通っていた。二人は食客として長らく居て、そこで沢山稽古を付けてもらったものだ。
その試衛館の人が沢山集まっている新選組だから、懐かしい顔ぶればかり。
「あー、玄関で騒ぐんじゃねえ！ここはお前の家じゃねえんだからな。とりあえず客間に行け。茶くらい出してやる」
土方さんの一言により、私は客間に通された。
総ちゃんが着いてくれて、案内もしてくれたから特に問題はない。
「ふーーーー」
安心できる場所に着いたような、そんな心地。
「Aさ、いつまで京にいる気なの？」
「うーん…」
「…家出とか言わないよね、まさか」
「家出じゃないよ…」
はっきりと答えない私に、総ちゃんは疑った声を出すけれど、これは家出じゃない。家族には一応言付けてきたし。
「今日は宿をとってるの？」
「とってない、これから探す」
「お金は？そんなにあるとは思えないんだけど」
「それは、うん！大丈夫！」
「ふーん…知ってる？京の宿は高いんだよ」
こそ…と値段を耳打ちされる。そんな、私だって貯めたんだからーーと言いたいところであったのだが。
「………」
家を出た当初に比べ、薄くなった巾着を見る。
私は大きな難題に頭を抱えた。
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革ベルト
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あめ(プロフ) - 帰蝶さん» ありがとうございます…！私が泣いて喜びました；；；；コメで元気もらえました、頑張ります！ (2021年7月23日 10時) (
レス) id: c4879c790e (このIDを非表示/違反報告)
帰蝶(プロフ) - 初めまして！とても面白かったです！沖田さん好きなので是非お時間ある時に続きを書いていただけますと泣いて喜びます！陰ながら応援しています！ (2021年7月20日 1時) (レス) id: 8097c0e74f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：あめ(雨星) | 作成日時：2021年4月26日 9時
