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3話 ページ3

それから私は、巡察中であるという総ちゃんに連れられて街をあるいた。
「仕事だからね。邪魔するようなら置いてくから」
「相変わらず意地悪言うんだから」
べーっ、と舌を出してみる。
「…置いてかれたいわけ?」
「うっ、嘘ですごめんなさい」
変わらないやり取り。久しぶりの感覚。少しだけ気持ちが浮き足立ってしまう。
「………」
後ろからの視線を感じながら。

「ねえ総ちゃん、あの子って隊士なの?」
さっきからすごく視線が刺さるんだけど、と付け足す。
急に現れた私が不思議なのだろうけれど、そんなに痛いほど見なくてもいいじゃない。
「あの子は土方さんの小姓。それ以上でも以下でもないよ」
「土方さんの?でもなんで総ちゃんといるのよ」
土方さんの小姓なら土方さんといるべき、当然の考え方だと思う。
「…恋人?」
「あはは、Aにはそう見えたの?」
笑って答えてくれない。なんだか明言を避けられているようで、疑問の答えを肯定しているようで、嫌な気持ちがだんだん私の頬が膨らます。
「総ちゃんには出来るでしょ」
何を隠そう、この幼馴染は格好いい。見た目で言えば軍を抜いて、ばっちり上位。ちょっと性格に難があるかもしれないけれど、昔から女子には騒ぎ立てられていた。
「何、妬いちゃったわけ?」
ぷくっと膨れた頬を指でつつかれる。絶対面白がってるでしょ。遊んでるでしょ。
小さく睨んでやると、楽しそうな総ちゃんの顔が見えた。…やっぱり遊んでた。
「馬鹿だなあ、それ以上でも以下でもないって言ったでしょ。Aが思っているような関係の子はいないよ」
「ふぅん…」
本当かな?彼は平気で嘘をつくから、まだ疑いは晴れない。
「まだ疑ってるでしょ?あーあ、悲しいなあ」
「うっ」
…まあ、すぐに考えていることを読まれてしまうから、何とも出来ないんだけれど。

「沖田組長、何やらあの店が騒がしい様子です。如何いたしますか」
総ちゃんに声をかけてきた隊士が指す方向に、見るからに事件が起こりそうなそんな雰囲気が漂っている。
「千鶴ちゃん。Aと一緒にここで待っててね」
「は、はいっ」
「Aも、すぐ戻るから動かないで」
「うん、いってらっしゃい」
言うより早く、総ちゃんは隊士と共に駆けて行く。
ここには私と可愛いこの子だけが取り残された。

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設定タグ:薄桜鬼 , 沖田総司   
作品ジャンル:恋愛
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あめ(プロフ) - 帰蝶さん» ありがとうございます…!私が泣いて喜びました;;;;コメで元気もらえました、頑張ります! (2021年7月23日 10時) (レス) id: c4879c790e (このIDを非表示/違反報告)
帰蝶(プロフ) - 初めまして!とても面白かったです!沖田さん好きなので是非お時間ある時に続きを書いていただけますと泣いて喜びます!陰ながら応援しています! (2021年7月20日 1時) (レス) id: 8097c0e74f (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:あめ(雨星) | 作成日時:2021年4月26日 9時

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