2-16、生き残った私達に、祝福を ページ44
「んで、そいつは一体誰なんだ？」
「くぁwせdrftgyふじこlp？！！」
今まで俺の背中に隠れていた龍さんを指してファロが言うと、龍さんは悲鳴に似たような叫び声をあげた。
え、何今の声(爆笑)
笑いを抑えながら、作っておいた設定を思い出す。
「ああ、この人は龍慈さん。俺と同郷でさ、療養してた島で職がないって嘆いてたから一緒につれてきてん」
「ふーん、チャコに斡旋して貰うつもりかよ？…でもこいつ弱そうだぜ？ヒョロいしよお」
「弱っ、ヒョロっ…？！！」
あ、今"お前らがバカみてえにムキムキなんだよ！"っていう龍さんの心の叫びが聞こえた。
こいつらヤバイよなぁ。まあ俺もコラさんボディなのでムキムキですが？
ぐわしっ！という効果音がつきそうな程勢いよく襟元を掴まれる。龍さんは小声で叫ぶように話し出した。
「おいっ？！なんだよこの巨人ども？！平均身長のやつ少なくねえ？何ここ、何こいつら？！お前こんな中で訓練してたのかよ！！しまったお前も三メートルだったな！！！」
「うーん、平均身長のやつももっといたはずなんですけどねぇ…。ていうか…あれ？コナーとかシンは？まだ訓練中？」
いきなり襟元をつかんだ龍さんを軽くシめようとしていた奴らを抑えて訊く。
俺がそう訊くと、気まずそうにみんなが口を閉ざした。
え…まさか…
「…殉職？」
「…全員ってわけじゃねえけどな。コナーは死んだ。シンは辞職したよ」
「…なんで？」
「まず半年のしごきで除隊されたり辞職したりして、今期…というか俺ら特別募集枠のやつは半数以下48人の精鋭揃いになったろ？
それでまあ変人ばっかになっちまって、シンなんか狂犬とか言われてたし。でもお前にやけに懐いてたろ？お前が死んだとかいう笑えねぇ噂も流れたりしてな。アイツ、自暴自棄になりやがって辞めたんだ。
他の奴らは…演習艦でヤバいのと当たっちまってな…」
そうだろ？とファロが背後に問いかける。
その視線の先にはシオンがいて、堪えるように唇を噛み締めていた。
「…俺が殺したようなもんだ。
すまん、コル。お前が留守の間ちゃんと待ってようって決めてたのに」
そうだ、俺たちは海兵だった。
これからも死地に赴き、戦い、そして無残に死ぬかもしれない。
何故そのことを忘れていたのだろうか。
「…逝った彼らに、黙祷を」
さようなら、私たちの戦友。
.
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BAL - あかりさん» ありがとうございます！そう言っていただけるととても励みになります。このイベントに参加できてよかったです！ (2018年3月14日 16時) (
レス) id: debcdffa86 (このIDを非表示/違反報告)
あかり(プロフ) - イベント参加ありがとうございます。設定や文章、何から何まで素敵でとても面白いです！これからも頑張ってください！ (2018年3月13日 23時) (レス) id: 2ef8cf0998 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：BAL | 作成日時：2018年1月15日 23時
