2-12、天使の翼は ページ40
「っ…いいえ、何でもありません」
逃げるようにそう言われた言葉は、知っていると確信させるには十分だった。
こいつ…一体何者なんじゃあ…！
いくつもの疑問が湧き出て来て、これ以上踏み込むのさえ危険に感じていたとき。これまでなにも喋らなかったチャコが苦しそうに口を開いた。
「コル…
今からでも遅くない、中に戻ってくれ…。不満があるなら出来る限り改善するから…！」
「…俺は別に、牢の中じゃなかったら監視されても気にしいひんよ。
今まで通り普通に仕事して側にチャコが居るだけなら全然いいし、むしろ一緒に居れて嬉しいし？」
「っコル…！」
「ねえ、一度水に流しません？何も…なかったことにしましょうよ…」
ロシナンテによく似た顔が、彼のように優しく、寂しげに微笑んだ。
っ何を、今更…！
その表情を見てぐらりと心が揺れる。
「コルッ！氷だ！！」
「
「っはぁ…、最初のは別に驕りでもなかったわけね…。立派に脱獄しやがって」
「クザン…」
見事コルを捕らえたクザンによくやったと声を掛ける。
避けられるかとも思ったが、そばに居た男に被害が及ばないようにするので精一杯だったらしい。
その腕に男を座らせ、少年を抱えさせていた。
コルの少年たちを案じるような顔を横目に、迷いを抑えこむ。
どうもこいつには謎が多過ぎていかん。あとで徹底的に調べ上げねば…
クザンは怠そうに身体を動かして、段々と凍らせる範囲を広げていく。
足から下半身へ、下半身から上半身…へ？
「コルっ身体が！」
「おいおいやべーって！クザン来たぞ！早く逃げろ！！」
「分かってるって」
ピキピキと、それが動く度に音がなる。
「天使の翼を、誰も見たことがないのは何故だと思います？
…みたやつ全員、殺して来たからですよ」
ふわりと動く三対の氷の翼が、大きく空に広げられた。
ぐっと空気の圧がのしかかる。
息苦しく感じるのは気のせいではないようで、胸を押さえてしゃがみこむのも何人か居た。
彼が翼を大きく羽ばたかせると、氷は砕け散っていく。
落ちる氷と共に姿を消した翼は、まるで最初からなかったかのようだった。
「じゃあ俺は帰ります。
私がこれからどう動くかは、貴方がたの対応次第ですので…」
「ルーラ」
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BAL - あかりさん» ありがとうございます！そう言っていただけるととても励みになります。このイベントに参加できてよかったです！ (2018年3月14日 16時) (
レス) id: debcdffa86 (このIDを非表示/違反報告)
あかり(プロフ) - イベント参加ありがとうございます。設定や文章、何から何まで素敵でとても面白いです！これからも頑張ってください！ (2018年3月13日 23時) (レス) id: 2ef8cf0998 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：BAL | 作成日時：2018年1月15日 23時
