episode86 ページ41
『…喧嘩。まあ、喧嘩だね。』
「喧嘩?
Aさんと世良の姉ちゃん、そんなに仲が良かったっけ?」
『ま、程々にね。
なかなかにしんどいものね、喧嘩って。』
私はソファに体を預け、天井を見る。
2度と和解しない喧嘩。
あー、と大きく息を吐く。
「なんで喧嘩したの?」
『意見の食い違い…ってそんなの当たり前か。
食い違わなきゃ喧嘩って起こらないもんね。』
しばらくの沈黙。
今までは好んでたけど、今はあまり落ち着かない。
『今なら何でも話しちゃいそうだよ。
自暴自棄ってやつだね。』
「Aさんの事なら何でも知りたい。」
哀ちゃんの声は真っ直ぐだった。
『ありがとう。でも、人に聞かせるような話題持ち合わせてないんだよね。
小さい頃は普通の家でそだって、小学校くらいに異能力持って、そこからわんやわんやと中学生。
んで今。異能力で悩んでたからそれを助けてくれた探偵社に感謝を…。』
そこで言葉が詰まる。
探偵社に感謝を伝えたい、って言おうとしたけど助けてくれたのは太宰さんで、生き方の方針…云わば異能力と生きる、ってことを固めてくれたのはポートマフィア。
感謝を伝えたい人を履き違えている気がする。
確かに探偵社にすごく感謝しているし、この先もその感謝を返していくけれど。
太宰さんが引き入れなきゃ私は一生マフィアだ。
これじゃあ私の嘘に都合よく探偵社を使ってる。
…気にするほどの事じゃないのに。
今は何もかもが引っかかる。
「Aさん?」
哀ちゃんに呼ばれてハッとする。
『あ、ごめんごめん。
少し気になっちゃって、いろんなことが。』
「…そう。」
私は麦茶を手に取ろうと体を屈める。
グッと屈んだのが悪かったのか、傷が酷く痛んで伸ばした腕を一瞬曲げた。
しかし直ぐに麦茶を取り直す。
「にしても、Aさんの傷本当に大丈夫なの?」
『大丈夫だよ。
撃たれただけだし。』
「撃たれた!?」
2人は顔を上げてそう驚く。
息ぴったりだ。
『久々に撃たれた。』
「それ本当に大丈夫なのかよ。」
『うん。処置、してもらったからね。』
「いや、じゃなくてこんなに動いたりしてるのに傷口開かねぇのって。」
『まあね。普通に動ける程度には痛くない。
強いからさ、痛みに。
ただ触られたり、急に傷のところ動かすと痛いかな。
一応2回当たってるから。』
「一応って…あなたねぇ…。」
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from bathroom(プロフ) - ありしゅさん» コメントありがとうございます!!ウアアアアアア気がついて下さりありがとうございます…私も好きな曲で誰か気がついてくれたらな、とかしんどい人いたら救われねえかなみたいな感覚でちょびちょび入れてみたので気がついて貰えて嬉しいです…!これからも頑張ります! (2021年10月24日 7時) (レス) id: 462ac0c112 (このIDを非表示/違反報告)
ありしゅ(プロフ) - 私の好きな曲の歌詞がいきなり出てきて吃驚しました!これからも応援しています! (2021年10月17日 9時) (レス) id: a9a93c108b (このIDを非表示/違反報告)
from bathroom(プロフ) - 桜茶さん» 語彙力が酷く低い返信本当に申し訳ないです… (2020年11月14日 10時) (レス) id: 462ac0c112 (このIDを非表示/違反報告)
from bathroom(プロフ) - 桜茶さん» ありがとうございます!!(´;ω;`) それに好きだなんて言葉本当に嬉しいです…これからも応援よろしくお願いします、本当にありがとうございます…!! (2020年11月14日 10時) (レス) id: 462ac0c112 (このIDを非表示/違反報告)
桜茶(プロフ) - 合格おめでとうございます!bathroomさんの作品はどれも好きなのでこれからも楽しみにしています。 (2020年11月8日 0時) (レス) id: 72bb70d964 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:from bathroom | 作者ホームページ:http://なし
作成日時:2020年6月14日 18時