赤井さん家の異能力者【名探偵コナン】【文豪ストレイドッグス】

episode76 ページ31

私はそう言い残し、ベランダから飛び降りる。

目を瞑り、吹き上がる風に身を任せる。

死ぬなら死ぬ。それだけ。






とか思っていたが、地面よりずっと上で、抱えられるようにキャッチされる。



ゆっくりと目を開ける。





『お久しぶりです。』








私は1つ息を吸う。









『中也さん。』









私はそう笑いかける。



「…真逆…。」


『全部思い出しました。無事に。
太宰さんを庇って２発撃たれたのがきっかけみたいです。
てか、よくあそこから落ちるって気が付きましたね。』


「いや、手前が電話かけて来たんだろ！？
あと、あんな堂々と落ちてこられれば気が付きたくなくても気が付く。
てか、なんで俺の番号知ってんだよ…」


『太宰さんに教えてもらったんですよ。
てか、倉庫で死にかけたのどうしてくれるんですか。
あ、あと太宰さん生きてます？』

「嗚呼、生きてる。」


その声はかなり不服そうだった。
地面にゆっくりと着地し、私は中也さんの腕から降りる。


『それと、ありがとうございました。
わざわざすみません。』



私は深く頭を下げた。



「気にすんな。でもこれでお愛顧だ。」

『はい！』


頭を上げて、ニコッと返事をする。


『太宰さーん！お久しぶりです！』

「久し…え？」

『思い出しました。
本当に、お世話になってます。』


私は深くまた頭を下げた。


『あと、喧嘩しました。
母と。初めて。』

「喧嘩ァ…？」


中也さんは語尾を上げた。


『母と姉、とです。一方的に切っちゃったんですけど。
言い合い、しちゃいました。
一緒に暮らさないか、って言われて感情的になっちゃって。
情けないですよね。』


私は二人にそう笑いかけた。
肯定も否定もないはずだった。


「情けないってどういう事だ？」


と中也さんが私の目線までしゃがんだ。


『大人気ないとか、じゃないすか？』

「大人じゃねーだろ。」


コツン、とおでこを小突かれる。
私は「ぐっ」と口から零し、顔をしかめる。


「とりあえず、A、手前の家に行くぞ。
止血だ止血。」

『あ、姉にしてもらいました。』

「んな事わかってる。ただ、止血だけじゃ状態によっては死ぬぞ。」

『…あーい。』



そう、返事して一歩踏み出す。

ガクッと崩れる膝。

激しく痛む頭。



「おい！！」



副作用かなんなのか分からない。
それでもいたかった。

私は眠るように、痛みから逃げるように、目を瞑った。

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