episode73 ページ28
私はそこで目が覚めた。
…そうだ。
あの日、中華街で助けてくれたのは確かに太宰さんだ。
ただ、時間が違う。
私を助けてくれたのはまだ、探偵社に入ってない頃の太宰さん。
んで、間違いに間違いが重なって、結果人を殺した。
加えて、真純にこれ以上ないほどの強さで異能力をかけ記憶を消した。
そう真純が見た景色も、そもそも攫われた、という事実も。
だから、私だけが居なくなったことになった。
定着するまでの間、暗い牢屋で1人、痛みと罪悪感と自分への嫌悪感が友達だった。
そして、その日から数年、ずっと行方不明者のままマフィアに在籍して、太宰さんが抜けたあとに、私も抜けた。
太宰さんに「君もこっちに来なよ。人を救うのは悪くないよ。」と手を引っ張られて。
それで、初任務の時、見事大爆破に巻き込まれて、生き残ったものの、記憶が飛んだ。
ただ、それだけだった。
ゆっくりと起き上がる。
電気はついておらず、全開に開いたベランダから差し込む月明かりと街の灯りだけが部屋の光だった。
「A！！」
突然真純に抱きつかれる。
「良かった！目が覚めたんだね！」
そうだ、すっかり忘れてたが真純に助けられたんだ。
私は「ありがとう」と言った。
「…それと、久しぶりだね。
いや、数ヶ月前にもあってたか。」
『…え？』
真純のその言葉に私は固まる。
「このブレスレットだよ。
君を寝かせた時にポケットから落ちてきた。」
頭が回らない。
逃げ回ってもいつか捕まる。
分かってたはずなのに。
そうか、もう逃げられないのか。
「何年間もどこにいたんだい？
ずっと、ずっと探してたんだっていうのに…。」
嘘をつくか、それとも本当のことを言うか。
誤魔化すか。
冷や汗が止まらない。
心臓がうるさい。
分かってたことだろ。
『……どこにもいないよ。ずっと、横浜にいた。』
「横浜…？」
『横浜。探偵社に居た。』
「そんなはず…！」
『横浜で、ずっと。』
「じゃあ僕たちが探していたあの街は、なんだって言うんだよ！！」
その時、ホテルのトイレとお風呂を繋ぐ扉が開いた。
「…A。」
と、声を出したのは小さくなった母だった。
『…。』
私は母と静かに目を合わせた。
母が来たことで何故か落ち着いた。
『お久しぶりです。』
「…今までどこにいたんだ？」
『横浜です。』
母は冷たく声を放つ。
苦手だ。
やっぱり苦手だ。
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from bathroom(プロフ) - ありしゅさん» コメントありがとうございます！！ｳｱｱｱｱｱｱ気がついて下さりありがとうございます…私も好きな曲で誰か気がついてくれたらな、とかしんどい人いたら救われねえかなみたいな感覚でちょびちょび入れてみたので気がついて貰えて嬉しいです…！これからも頑張ります！ (2021年10月24日 7時) (
レス) id: 462ac0c112 (このIDを非表示/違反報告)
ありしゅ(プロフ) - 私の好きな曲の歌詞がいきなり出てきて吃驚しました！これからも応援しています！ (2021年10月17日 9時) (レス) id: a9a93c108b (このIDを非表示/違反報告)
from bathroom(プロフ) - 桜茶さん» 語彙力が酷く低い返信本当に申し訳ないです… (2020年11月14日 10時) (レス) id: 462ac0c112 (このIDを非表示/違反報告)
from bathroom(プロフ) - 桜茶さん» ありがとうございます！！(´；ω；｀) それに好きだなんて言葉本当に嬉しいです…これからも応援よろしくお願いします、本当にありがとうございます…！！ (2020年11月14日 10時) (レス) id: 462ac0c112 (このIDを非表示/違反報告)
桜茶(プロフ) - 合格おめでとうございます！bathroomさんの作品はどれも好きなのでこれからも楽しみにしています。 (2020年11月8日 0時) (レス) id: 72bb70d964 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：from bathroom | 作者ホームページ：http://なし
作成日時：2020年6月14日 18時
