異世界のお悩み相談室【🎲様】

4、見える──　桃過去編 ページ5

ひと
俺は見える人間。


元々うちの家系は“見える人間”ばかりの家系だった。


正確には祈祷師(きとうし)の家系。


能力もずっと受け継がれていたみたいで、結界くらいは張る事ができる。


その血を受け継いで俺も“見える人間”。


けど、そのせいで怖がられた。


学校が楽しくなかった。



…異世界の住民を嫌った。


桃「…でも住人たちに罪はない。」


呪いたくなった。


桃「…でも呪ってはいけない」



俺は家にずっと居た。


俺は無意識に自分の結界を張るようになった。

　 居場所
もう誰かに自分のテリトリーをとられたくないという本能と。


住人に対する矛盾した考えから。


けどある日。



ﾊﾟﾘｰﾝ！



桃「！？」

？「結界…？」

桃「…酒呑童子」

？「お前は見えるのか？」

桃「…見える。でも見たくない。」

？「だから結界張ってるんか…」

桃「…いいから帰って」

？「いやだ」

桃「は？」

？「じゃあさ、成人したら一緒に酒のもーや」

桃「…なんで？…俺に構うな」

？「釣れないにーちゃんやなぁ…」

桃「……祓うよ？」



その日から割と多い頻度で異世界の住人が訪ねてくるようになった。



？「やっほー！」

？「ちょ、まってや！」

？「ここ暴れてもいいの！？」

？「お前ら待てやこいつは俺と酒飲むの！」

？「…お騒がせしてすまんなぁ…」

桃「…はいはい…(諦)」





─────────
？「ちょっとまって…ってうわぁ！」

？「こけたw」

？「w」

？「本当ドジだよねw」

？「w大丈夫か？」

桃「もう…はい絆創膏。人間界のやつだから使えるか知らんけど」

「「「「「！」」」」」

桃「…w面白い反応するじゃん？」

？「…笑った…？」

？「笑った顔の方が似合うで？」

？「…泣き顔よりはな」

？「うわーツンデレ」

？「…まぁ笑ってくれてよかった…！」





──────────
「「「「「引っ越し！？」」」」」

桃「そう…ちょっと寂しいけどw」

「「「「「！」」」」」

？「新しい土地でも頑張ってなぁ」

？「また会いに行くよ」

？「絶対！」

？「酒のもーな」

？「じゃあ…またな」

桃「またね」










──────────
この時から、何か変わった。


祈祷師を捨てた。


住人に恩返しがしたくなった。





──────────
だから今日も──


桃「ようこそ。」

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