標的36 波紋 ページ41
｢ボス、リックという男について教えてくれませんか｣
一人でいるボスに僕は直接聞きに行くことにしました。そもそもリックの動向ばかり気にかけていて、人間性の部分を知ることを失念していました。
｢ん？どうしてだ？知り合いなのか｣
｢…マフィア界のヒーローと聞いて、少し興味がありまして｣
｢そうか。骸も段々俺ら色に染まってきてくれて嬉しいよ。あいつはな、いろんなしがらみのあったマフィア界を一掃させたんだよ。
クスリ、汚職、暴力、売春。ありとあらゆるものから切り離せなかった世界を一刀両断したんだ。自分の手を汚さずにな。
まあお察しの通り、現状はまだまだ改善してねえ。完全に成功したとは言えないが、行動に移したその心意気に感心したもんだ。俺らみたいなクリーンな運営をしていたマフィアにとっちゃ、それこそ見習いたいって感じるも自然の摂理ってやつだ｣
僕は今何を聞かされているのでしょう？僕はリックの幻の姿でも見ていたというのですか？
そんなわけないしょう。
僕の親を殺して、��ジャストリーベ��を裏切った男が、英雄視されるはずがありません。
あの日男が両親を見る眼差しは、冷たく、かつての仲間を見るような目ではありませんでした。私は忘れません。
皆がしらないリックの裏の顔で殺された両親の無念を、晴らすために僕は今ここにいるのです。
現在日本での活動をしているとのことなので、今すぐ日本に飛んでいきたいところでしたが、どうしてそのような英雄視されることになっているのかを調べることが先かもしれません。
もう一度ジャストリーベや、両親がいたファミリーも改めて調べ直しましょう。
＊
｢骸おにーちゃん！このキラキラなあに？｣
｢ああこら、危ないですよ、触っちゃいけません｣
｢えーなんで？なんで？｣
｢これは人を傷つけてしまう怖いものなんですよ｣
｢えーじゃあどうしてもってるの？｣
｢…痛みを忘れたくないですからね｣
｢意味わかんなーい｣
｢ほら、今お兄ちゃんは忙しいからまたあとで｣
手のひらには、エストラーネオファミリーで拾ったあの金色の銃弾。ころりとソレを手のひらで転がし、ポケットの中に入れた。
どうやら一味の子供に、いつの間にかトランクの中を漁られたようですね。これからは厳重に保存しないと。
この禁弾をこうしてまだ僕が持っている意味…それはもちろんあの時の後悔を忘れないためです。
無意味な殺生はもうしたくありませんから。
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南条(プロフ) - 黒猫♪♪さん» 感想ありがとうございます！とても励みになります…！ (2018年4月10日 7時) (
レス) id: 05ac4354b9 (このIDを非表示/違反報告)
黒猫♪♪(プロフ) - とても面白いです！自分のペースで更新頑張ってください！ (2018年4月7日 4時) (レス) id: 80ca512ce2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：南条 | 作成日時：2013年8月30日 0時
