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標的26 走れ ページ29

頭が真っ白になりました。
これは一体誰の血か。2人の…はたまた第3者か。

ドクドクと恐ろしいほど脈打つ心臓を無視して、私はゆっくりとドアの方へ近づきました。


ドアの隙間から、お父さんが壁によりかかって座る姿と、知らない男がお父さんの前に立って、喋っている様子が見えました。お父さんの背中の壁には引きずったあとのような血痕が見えます。ではこの床に流れる致死量を満たす血は、まさか、お母さんの、血?

落ち着け、私。こういう時こそ冷静に。

この男は、一体。

「女とくっついてるっつーのは聞いてたが、まさかこんな立派な家を買ってるとはね」
「リック…!どこからこの家の居場所を知った!」
「そんなことはどうでもいいじゃん。俺はお前とまた会いたかったんだよね。前は、フラれちゃったし」
「なにをいけしゃあしゃあと…っ!お前が裏切ってジャストリーベに入ったんだろうが!」

リック、ジャストリーベ。

話を聞くにお父さんの昔の相棒か何かでしょうか。

「お前と話したいのは山々なんだけど…」

パシュっ

小さな音が消えたと思えば足に激痛が走りました。…いや、激痛どころの騒ぎじゃないし正直大声あげたいですが大人なので我慢しますけど。

サイレンサー付きの銃で私に背を向けたまま、太股を1発。明らかに手馴れです。

「しつけがなってないぜお父さん?」
「っやめろ!息子だけはっ、!」

男がゆっくりと振り返ります。私は、一瞬男の顔を目に焼き付けると、すぐさま痛い足に鞭を打ち、走り出しました。

「チッ ガキ!」

大方子供だから足がすくんで動けまいと高を括っていたのでしょう。だから私は二発目の弾を受けることなく、駆け出せました。

玄関の鍵は開いていました。裸足のまま、暗いイタリアの街中を走ります。

子供の足と大人の足、考えなくても追いつかれることは明白です。それでも足を止めたくはありません。足を止めたら恐らくお母さんのように、撃たれて死にます。私は、死にたくない。Aに会うまでは死ねない。

私は無我夢中で走りました。夜にしては珍しい濃霧があたりを充満していたので、なんとか男を撒けたようでした。

__

その霧が死ぬ気の炎のお陰ででた幻覚の霧だったということがわかるのはもう少しあとの話。

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設定タグ:成り代わり , REBORN , 転生   
作品ジャンル:アニメ
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南条(プロフ) - 黒猫♪♪さん» 感想ありがとうございます!とても励みになります…! (2018年4月10日 7時) (レス) id: 05ac4354b9 (このIDを非表示/違反報告)
黒猫♪♪(プロフ) - とても面白いです!自分のペースで更新頑張ってください! (2018年4月7日 4時) (レス) id: 80ca512ce2 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:南条 | 作成日時:2013年8月30日 0時

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