標的16 飛ぶ ページ19
あれから一週間。委員長はまだ目を醒まさない。
医者はちょっと危ないかもねと言っていた。…委員長ナシで学校を運営していくのはきつい。
今は早く目を覚ましてほしいと願う気持ちが強かった。
そんな矢先、委員長が目を覚ましたと連絡が入った。俺はすぐさま病院へと向かった。
委員長の病室の前までくると、ノックしてから、「草壁です」と伝える。
しかし委員長からの返事はない。俺はそのまま病室に入った。
委員長は、病室にある小窓から見える空を見て、一度も俺の方に目を向けない。
患者服から覗かせる肌は青白く、あれだけ眠りこけていたはずなのに、倒れた時と顔色が変わっていないようだった。少し心配になった。
「最近どう」
「...っ 特に変わったことはなく、順調な日々を送っています」
委員長がいきなり尋ねるものだから少しつまってしまった。
俺がそう答えると、委員長の視線は窓から白い布団の上へ移動した。
「...そう」
興味なさげな声色とは反対に、委員長の顔はどこか寂しげだった。
「迷惑をかけたね。直ぐに学校に行くよ」
「いえ! まだ検査が残っています。それまでゆっくり休養を取ってください」
「僕がいないと大変なくせに」
どくんと心臓が跳ね上がった。確かにその通りだ。委員長がいないと、もう無理かもしれない。改めて委員長は偉大だと気づかされる。
でも、俺は委員長が無事に復帰してくる方が一番で...
「まあ、いいよ。たまにはゆっくりしてもいいのかもね」
すると委員長はどこからか折り紙を取り出して、何かを折る。それは紙飛行機だった。
それをつぅーっと飛ばす。ふらふらと飛んだ紙飛行機は、元から開かれてあった窓を飛び出して、どこまでも青い空に向かって進んでいった。
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南条(プロフ) - 黒猫♪♪さん» 感想ありがとうございます!とても励みになります…! (2018年4月10日 7時) (レス) id: 05ac4354b9 (このIDを非表示/違反報告)
黒猫♪♪(プロフ) - とても面白いです!自分のペースで更新頑張ってください! (2018年4月7日 4時) (レス) id: 80ca512ce2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:南条 | 作成日時:2013年8月30日 0時