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それは今から約1ヶ月前のバレンタインデーの日の事だった。

僕は先週から取り組んでいる魔の研究に追われていて絶賛徹夜中。

レポートも書き終わらないし、研究も終わらないしでかなり忙しかった。

そんな中ピンポーン、とインターホンの音がした。

つまり誰かが訪ねてきた、ということ。

全く、こんな時に誰だよ……なんて思いながらドアを開けるとそこにはAちゃんがいた。


「ん、え、Aちゃん?どうしたの、急に来るなんて珍しいね。とりあえず中入る?」

「大丈夫だよ!これ渡しに来ただけだから、気にしないで」


そう言って両手に収まる程度の箱を僕に渡してきた。

これは......お菓子の箱かな。

見たことある箱だし、 かなり有名なところのかもしれない。


「ほら、 今日バレンタインだから。甲斐田くんに渡したくて。いつもありがとうね」


あ、もちろん買ってきた市販のやつだから安心してね!なんて言いながら笑う姿がとっても可愛い……じゃなくて!

バレンタインって言った??

そういう行事にほとんど縁のない僕が??

そんな事を考える前に、とりあえずお礼言わないと。


「こっちこそいつもありがとう。わざわざここまで届けにきてくれて嬉しいよ。ほんとにありがとう!」


そう伝えると、


「喜んでもらえて良かった!甲斐田くん、忙しそうなのに急に押しかけてごめんね。 研究頑張ってね!あ、でもちゃんと休憩はとってね?それじゃあね!」


と言って、帰って行った。





……冷静になると改めて今起こったことが信じられない。

これ、バレンタインチョコってこと?

Aちゃんから僕への??

どうしよう、すごい嬉しい。

好きな子から貰うチョコってこんなに嬉しいものなんだなあ。

魔の研究を放り出したままそうやって喜んでいると、あることに気がついた。


「……そうだ、 お返しどうしよう」

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作者名:茉莉 | 作成日時:2022年3月14日 10時

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