Extraordinary 2 (ページ36)

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腹が減っては戦はできぬページ36

　
　
その後、しばらくして相変わらず寝起きが悪いユンギをなんとか叩き起こしておぼつかない足取りで寮に戻った。
　
絶対に怒られる────………

と構えていたのだけれど

「あら、2人ともお帰り！大雨の中大変だったでしょ？ご飯用意してるから早く食べちゃって！」

夜勤明けの先生はそういうと担当部屋へと戻っていった。

これは……

本当に、ジンさんが言っていた通りになった。

「何がどうなってんだ？」

頭にハテナマークを浮かべるユンギ。

『さあね、ジンさんに聞いてみないとわかんないや』

「まあ、何もないなら深く考えなくてもいいだろ。それよりも、飯だな」

『うん、そうだね』

食パンを2枚トースターに入れてスイッチを押す。

腹が減っては戦はできぬ。

まあ、これから戦う予定なんてないんだけどね。

否、予定あったわ。

昨日果たし状をもらったばかりだ。

『………最悪』

いずれまた彼とはちゃんと話をしないといけないと思ってる。

今のところ、お互いが相手のことを理解できない状態だ。

まずはそこのわだかまりを解く必要がある。

このままでは、ずっと平行線でおそらく交わることなんて夢のまた夢だ。

根本から解決しないと。

「A」

ユンギが人差し指で私の眉間をついた。

そこで初めて自分の眉間にシワがよっていることに気づく。

「後でお前の部屋行くわ」

『え、なんで？』

「昨日の件でいろいろ聞きたいことがあるからな」

そうだった。

まだユンギには昨日のことをちゃんと話してなかった。

まあ、いい話でもないし心配をかけなくないっていうのもあって本当はあまり話したくはないのだけど。

後々、ものすごい形相で睨まれるのを想像すると……

話さないと、だよねぇ。

「……おい、食パン焦げるぞ」

ユンギの声に反応して慌ててトースターのタイマーを見ると20分設定になっていた。

「ご、ごめん！てか、もう焼けてるね、今取り出すから！────…あっつ！！！」

少し焦げていたから、さらに慌てて何故か素手で焼き立て熱々のパンに触ってしまう始末。

するとユンギはすぐさまドライアイスをハンカチに絡んで私の手を冷やしてくれた。

「お前……本当に大丈夫かよ」

『……うん、大した火傷じゃないよ』

「そう、じゃなくて……まあ、いいから大人しく座ってろ。あとやるから」

『ん？……うん、ごめん、ありがと』