Extraordinary 2 (ページ33)

今日:7 hit、昨日:5 hit、合計:30,520 hit

睡魔ページ33

　
　
　
　
その後事の全てを話した。

過去のこと。

公園でのこと。

ジンさんは優しい眼差しで終始相槌を打ちながら静かに話を聞いてくれた。

「そんなことがあったんだね」

『すみません、私の話を聞いてもらってばかりで……』

「いや、いいんだよ。Aちゃんが話したいことがあれば何でも聞くよ？だから、気にしなくて大丈夫」

もう一杯だけ飲もうか

そう言ってジンさんは空のカップを２つ持ってキッチンへ向かっていった。

1人分広くなったソファーに腰掛けたまま静かに目を閉じた。

全て話してスッキリしたからか、緩やかな眠気が襲ってきた。

抗うことなくそのまま沈み込んでしまいたかったのだけれど

突然のスマホの着信音によって現実世界へと引き戻される。

重い目蓋を押し上げてスマホに手を伸ばした。

〈……今どこ？〉

『ん、ユンギ……？』

睡魔によって思考が遮られる。

思うように喋れない。

〈迎え、行くから〉

ユンギの心地よい声がうっすらと聞こえた。

再び目蓋が下がる。

〈……おい、聞こえてるか？〉

〈マジかよ……〉

ユンギの呼びかけも聞こえない程、私の意識は深いところに落ちていった。

─────────────……

「お待たせAちゃん！……って、あれ？寝ちゃったかな？」

湯気が昇るカップを2つ机に置いて

寝室から引っ張り出してきたブランケットを静かなら眠っているAにかける。

「相当疲れていたんだね」

そう言ってソファーに腰掛けたジンだが足元に違和感を覚え、再び立ち上がる。

違和感の先に視線を落とすとそこには画面が通話中のスマホ。

電話先の主は……

「……あぁ、なるほどね。待ちくたびれたよ」

スマホ拾い上げ電話先の主に言葉を投げる。

〈……あんたか。誘拐犯は〉

ユンギの返しに不意をつかれ、ジンは堪えきれずに笑ってしまった。

「そうだよ、って言ったら……どうする？」

〈─────……〉

面白がるジンの問いかけに対し

5秒ほどの沈黙の後

ユンギは声色変えず淡々と口を開いた。

〈───……殺す〉