Extraordinary 2 (ページ32)

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本当に求めていたことページ32

　
　
　
　
　
どのぐらい時間が経ったのだろうか。

少しずつ嗚咽も落ち着き、ゆっくりと呼吸を整える。

『……あの、ジンさん』

「ん？」

『人間は挫折すると、存在価値すらない抜け殻になってしまうんでしょうか……』

私の問いかけに目をパチクリさせるジンさん。

「ふふ、Aちゃんはなかなか面白いことを言うんだね？」

そう言ってクスッと笑うジンさん。

なんで、面白いのか。

私はそれでそこそこのダメージを負ったというのに。

「明日の朝ごはんは何が食べたい？」

『……はい？私の話、聞いてました？』

予想外すぎる返しについていけない。

キム、ソクジンワールド全開である。

「いいから、答えてみて？」

『……はぁ、そうですね……久しぶりにスクランブルエッグが食べたい、です』

「うん、いいね。……じゃあ、次の質問。最近のマイブームがあったら教えて？」

何だろう、この合コンみたいな質問は。

意図が全くわからない。

「趣味、ですか……うーん、最近はコンビニのファストフードの食べ比べにハマったりしてますかね。店舗によって少し味が違ったりなんかしてて、ランキングづけをしたりしてます」

「ふふ、随分面白い趣味だね。今度僕にも教えてよ」

そう言って手を叩いて笑うジンさん。

「うん、なるほどね。何を言われたのかわからないけど……Aちゃんは抜け殻ではないよ」

『…どういう、ことですか？』

カフェオレを一口飲んでカップを置くと彼は私の目を真っ直ぐ見つめた。

「抜け殻っていうのは、中身がなくなったものことを言うよね。Aちゃんはそれには当てはまらないよ」

『でも、私には過去の……その』

「そっか」

ジンさんは私の言葉を遮った。

「何かはわからないけど、大きなものを失ったようだね。……無理には打ち明けなくても大丈夫。うん、よく頑張ったね。辛かったね」

ジンさんの言葉に何かわだかまりのようなものが解けいく感覚を覚えた。

いつも周囲の人たちは私に結果を求める。

負けると叱責を浴びせられ、

勝つと次も頑張れと言う。

いつまでも平均台の上を歩いているようだった。

終わることない長い長い道。

私の心は疲弊していた。

助けを求めていた。

叱責でも、頑張れでもない

誰でもいい。

本当は

　
　

よく頑張ったね、

の一言が欲しかっただけだったんだ。

　
　
　

　