乾燥機日和 ページ30
夜9時。
夜でも残暑が続く時期ではあるが、洗濯物を外に干すにもいい季節。
大量の部活着が入った籠を持って、カーテンを勢いよく開けた男……ミン・ユンギ。
しかし……
「マジか……雨降ってたのかよ」
ため息をついてすぐさまカーテンを締め切った。
どうやら今日は乾燥機日和と言ったほうが合っていたようだ。
そのままの足で乾燥機が置かれている部屋に行ったユンギは慣れた手つきで洗濯物のぶち込んでいく。
部屋には誰もおらず、彼が乾燥機を操作する機械音だけが鳴り響く。
次に足を向けた場所は食堂。
風呂に入って洗濯物を処理した後はここに来て水を飲むのが彼の毎度のルーティン。
冷蔵庫を開けてお目当の飲み物を取り出す───……と思いきやすぐさま冷蔵庫の扉を閉めたユンギ。
「また勝手に誰か飲んだな……」
いくら名前を書いて置いといても不思議なことになくなってしまう。
これがひまわり園の供用の冷蔵庫である。
ひまわり園の七不思議というものがあるのなら是非ともノミネートしていただきたいものである。
結局水道水で喉を潤し、手近にあった椅子に腰を下ろした。
頬杖をついて静かに目を瞑るユンギだったが───……
「ユンギ兄ー!!!!」
この時間にはそぐわない甲高く大きな声。
本日2度目のため息をついて気怠そうに目を開いた。
「……お前なぁ、今何時だと思ってんだよ、リサ」
声のする方に目を向けると
そこには熊のぬいぐるみを抱えて今にも泣き出しそうなリサの姿があった。
「だってぇええ!雷怖くて寝れないんだもん!!」
そう言って泣きじゃくり始めたリサ。
一方のユンギは、とうとう3回目のため息をついた。
「……お前ももういい歳だろが。来年は6年生になるんだろ?雷ぐらいで泣くなよ」
雷が怖くて泣きじゃくる女の子。
これだけ見るとどこか可愛らしくも思うかもしれないが。
リサは現在5年生である。
一言で可愛いと片付けてしまうと後々の彼女の人生に影響を及ぼす恐れがある。
「Aに寝るまで手でも握ってもらえよ。少しは落ち着くだろ」
「……A姉、まだ帰ってきてないよ、」
リサの放った言葉に微かに驚いた様子を見せるユンギ。
「あいつ……まだ帰ってきてないのか……」
強さを増していく雨。
ユンギはすぐさま携帯に手を伸ばした。
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sr - 続きが楽しみです。 (2020年9月6日 11時) (レス) id: 53a26bd6a3 (このIDを非表示/違反報告)
ゆき - 面白いデス (2020年8月19日 18時) (レス) id: d305fb51e1 (このIDを非表示/違反報告)
ゆき - 出してください (2020年8月18日 0時) (レス) id: d305fb51e1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:めめっち | 作成日時:2020年8月9日 23時