寂しい ページ9
僕は、風流を愛する文系名刀 歌仙兼定。
この本丸の初期刀で、顕現してから今日まで毎日、主の近侍を務めている。
主は、仕事以外の会話は決してせず、決して笑うこともなかった。
笑顔だけでなく、怒った顔も、泣き顔も、とにかく感情を表に出そうとしなかった。
というよりは、感情を表に出さないよう努めているように見えた。
そんな主を、僕は嫌いではなかった。というよりむしろ、気になってしまっていた。
どうしてそんなに頑なに、自分たちや、他の審神者との接触を拒むのか、
きっと彼女には彼女なりの理由があるのだろうということは、なんとなく分かっていた。
ただ、わかっていても寂しいのだと気づいた。
思えば一番最初、この本丸に僕と主の二人きりだった頃から、主は何も話してはくれなかった。
初めのうち、僕は毎日何度も主に話しかけていた。
天気の話、食事の話、和歌の話‥‥
でも彼女は何も答えなかった。
途中で席を立つことが多かった。
僕は次第に、自らも主に話しかけなくなった。
話しかけられなくなったのだ。
自分は嫌われてるのかもしれない、そう思うと何もできなくなってしまっていた。
それからもずっと、僕は寂しいのだ。
わかってはいる、理解しているつもりだが、どうしても、
僕は主を、自分の主として好いているし、
彼女の仕事ぶりにも感心してるからこそ、
寂しさを感じられずにはいられないのだ。
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梅雨月〈つゆつき〉(プロフ) - もちこさん» コメントありがとうございます！応援とっても嬉しいです！頑張って更新します！！ (2020年4月12日 22時) (
レス) id: fb62829e36 (このIDを非表示/違反報告)
もちこ(プロフ) - コメント失礼します！めちゃくちゃ尊いです…！無理しない程度で更新頑張ってください！！！！ (2020年4月12日 20時) (レス) id: 6cdbc3727f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：梅雨月〈つゆつき〉 | 作成日時：2020年4月9日 23時
