愛 ページ32
次の日、審神者は全ての刀剣男士を広間に集めた。
男士たちはこの前の時間遡行軍の本丸襲撃の話だとか、大掃除の話だとか、部屋替えの話だとか口々に言い合った。
でもそれらの予想は全て外れていた。
みんなが集まった部屋に、審神者は静かに現れた。
「みんなに、わたしから話したいことがあります。
話しておかなくちゃいけないのに、ずっと黙ってたこと。」
そう切り出した審神者から、ただの一振りも目線をはずさなかった。
「わたしは、みんなに酷く冷たく当たってきたと思う。
馴れ合うつもりはないと言って、貴方たちが傷ついてる事もあったって気付いてたのに。
本当に失礼で、酷いことをしたと思ってるし反省してるの。
本当にごめんささい。」
しばらく頭を下げた審神者は、とても痛々しく見えた。
「主‥‥」
清光がいたたまれなくなってそう溢すと、審神者はゆっくりと顔をあげた。
「だからね、今日はみんなに聞いて欲しいの。
わたしの、前世の話。」
男士たちはそれぞれが想像していた話題の何よりも重みのあるそれに、思わず息を飲んだ。
そして、時々言葉を詰まらせながら話す審神者の声を一文字も聞き漏らさぬよう傾聴した。
辛すぎるその生涯に同情し、思わず涙を流すものも、深くため息をつくものもあった。
辛すぎる過去を背負って生きてきた話を、話してもらえた、託してもらえたことに微笑むものもあった。
「‥‥あと、あとね、
わたしは、みんなのこと愛してる。」
少し照れ臭そうにそう言った審神者に、たくさんの男士たちが抱きつきにいったのだった。
終わり
ログインすれば
この作者の新作が読める(完全無料)
←全て
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 218人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「刀剣乱舞」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
梅雨月〈つゆつき〉(プロフ) - もちこさん» コメントありがとうございます！応援とっても嬉しいです！頑張って更新します！！ (2020年4月12日 22時) (
レス) id: fb62829e36 (このIDを非表示/違反報告)
もちこ(プロフ) - コメント失礼します！めちゃくちゃ尊いです…！無理しない程度で更新頑張ってください！！！！ (2020年4月12日 20時) (レス) id: 6cdbc3727f (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：梅雨月〈つゆつき〉 | 作成日時：2020年4月9日 23時
