過去 ページ28
太陽の、最後のひとかけらが沈みそうになっている頃、
歌仙が例の写真を持って審神者の部屋を訪れた。
「主、拾い物をしたんだ。」
写真の入った懐の辺りを撫でながら、歌仙は言った。
「そこに置いておいて。」
「写真、なんだけど‥‥。」
歌仙がそう言うと、審神者はハッとして、軽く咳払いをした。
「入って。」
その声を聞いて、歌仙は恐る恐る障子を開けた。
「これ‥‥主だよね。」
審神者は写真を見てほっとしたように眉を下げた。
「‥‥」
審神者は、何も言わず、さっぱり動きもしなかった。
「えっと、主‥‥怒っているのかい？」
審神者があまりに何も言わないので歌仙は少し不安になったようだ。
「ううん、拾ってくてありがとう。
‥‥とても、大切なものなの。」
「聞かせて欲しいな。」
遠慮がちに、でもせがむ様だった。
「‥‥座って。」
その瞬間、歌仙は思わず涙を溢しそうになった。
初めて、審神者の知られざる過去の領域に立ち入る許可が出たと感じたからだ。
審神者の向いに座って、感動した。
同じ目線でいるのは初めてだった。
話は唐突に始まった。
「これね、大学の頃の写真。」
歌仙はギョッとした。
「大学って君、享年二十四だよね？」
今となってはこんなに他人との関わりを厭っているのに、転生の、死のほんの二年前にはたくさんの仲間に囲まれて、こんなに素敵に笑っていたということが、歌仙にはどうも飲み込めなかった。
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梅雨月〈つゆつき〉(プロフ) - もちこさん» コメントありがとうございます！応援とっても嬉しいです！頑張って更新します！！ (2020年4月12日 22時) (
レス) id: fb62829e36 (このIDを非表示/違反報告)
もちこ(プロフ) - コメント失礼します！めちゃくちゃ尊いです…！無理しない程度で更新頑張ってください！！！！ (2020年4月12日 20時) (レス) id: 6cdbc3727f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：梅雨月〈つゆつき〉 | 作成日時：2020年4月9日 23時
