戦闘 ページ21
刃物がぶつかり合う、甲高い音が、審神者の耳を幾度となく
刃と刃が離れた直後、敵の刀の刃先が歌仙の頬を切った。
「っ、仕置きが必要だな。」
歌仙は一瞬眉を潜めたが、すぐに相手を斬りつけた。
審神者は、呆然とした。
自分の知らない、戦場での姿を、初めて目の当たりにしたからだ。
そのうちに、敵は
「主、君は無事かい？」
刀身を一度払って、ゆっくりと鞘に収めながら振り返った歌仙の血を見て、
審神者は
彼女の思考を、幼少の頃の記憶が、一瞬にして支配したからだ。
「歌仙、傷の‥‥傷の手当てを、血が、」
狼狽る審神者に、先日の案件と同じ物を感じた歌仙は完全に悟った。
彼女には、何かとても冷酷で、
「主、大丈夫だから落ち着いて。」
審神者の、酷く震える肩に伸ばした手を、審神者は無心で払った。
「いいから、早く、しゃがんで‥‥！」
こちらの話に耳を貸さないことが分かった歌仙は、言われた通り審神者の前に
そういえば、審神者に”手入れ”されるのは初めてだった。
いつも、自分でやるか、酷いものは薬研がしてくれた。
今思えば、自分の過去に蓋をしたままにする為に、避けていたのかもしれない。
審神者が歌仙の両頬を包むように、両手の五指で触れ、
神威を込めると、歌仙の顔の傷はたちまち元通りになった。
「ふう‥‥。」
落ち着いたように、息を吐いて、一歩退がった。
「ありがとう主。」
「いいえ。これは仕事よ。」
審神者がいつもの調子に戻ったのを見て、歌仙は少し安心した。
「貴方の方こそ、助けてくれてありがとう。」
「君を守るのは僕の、」
ガシャーーン！！
歌仙の言葉を、爆音が遮った。
「中庭の方からよ。禍々しい気を感じる‥‥新撰組の刀たちが危ない。歌仙、行って。」
「でも君は‥‥！」
「わたしは大丈夫だから行って。」
「でも君はさっきどこにも行くなって‥‥！」
「いいから行きなさい！全員無事でなきゃ怒るわよ！」
物凄い剣幕だった。
歌仙はためらって足踏みをしながらも、言われた通り中庭に向かった。
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梅雨月〈つゆつき〉(プロフ) - もちこさん» コメントありがとうございます！応援とっても嬉しいです！頑張って更新します！！ (2020年4月12日 22時) (
レス) id: fb62829e36 (このIDを非表示/違反報告)
もちこ(プロフ) - コメント失礼します！めちゃくちゃ尊いです…！無理しない程度で更新頑張ってください！！！！ (2020年4月12日 20時) (レス) id: 6cdbc3727f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：梅雨月〈つゆつき〉 | 作成日時：2020年4月9日 23時
