笑み ページ19
「戦法の話よ。時間がない、一度しか言わないから。」
審神者は、声を張って言った。
「細かいことは、貴方たちに任せる。貴方たちは戦における玄人。
わたしはその筋は素人だから限界がある。つまり、ほとんどは持ち場の話。」
今日は、いつものような、言付けの紙は用意していなかった。
突然すぎたというのもあるだろうが、自分の口から伝えたかったというのが本音だ。
「_____それから、長曽袮虎徹、和泉守兼定、堀川国広、加州清光、大和守安定、は中庭を。」
数秒、沈黙が続いた。
「あの、主、僕はどこに？」
歌仙は、まさか自分が主の指示を聞き漏らすわけがないとも思っていたし、
主が自分を忘れているわけがないとも思っていたが、
万が一と思って訊いた。
返事は予想外のものだった。
「貴方は動かなくていい。」
「主、それは、その‥‥つまり‥‥」
半分は、確かめなくても分かっていた。
喜ぶには、それなりの確証が欲しかった。
「歌仙はわたし‥‥わたしの、“書庫”を衛って。
‥‥どこにも行かないで、ここにいて。」
歌仙は本当は、状況が状況でなければ、子供みたいにはしゃぎだしたかった。
だが、ぐっと堪え、押し殺した。
「仰せのままに。貴方の“書庫”をお守りします。」
慎ましやかにそう答えた歌仙の顔には、ほんの少し押さえ切れていない笑みが滲んでいた。
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梅雨月〈つゆつき〉(プロフ) - もちこさん» コメントありがとうございます！応援とっても嬉しいです！頑張って更新します！！ (2020年4月12日 22時) (
レス) id: fb62829e36 (このIDを非表示/違反報告)
もちこ(プロフ) - コメント失礼します！めちゃくちゃ尊いです…！無理しない程度で更新頑張ってください！！！！ (2020年4月12日 20時) (レス) id: 6cdbc3727f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：梅雨月〈つゆつき〉 | 作成日時：2020年4月9日 23時
