苦悩 ページ12
心拍数が上がっているのに、血液が回りきってないみたいにクラクラする。
呼吸が乱れて、自分が今 息を吸っているのか、吐いているのかすら分からない。
なんとも言えない胸の詰まり、苦しくて堪らない。
自室に飛び込んですぐ、立っていられなくて座り込んでしまった。
この時張った分厚い結界は、無意識ではなかった。
今誰かに入って来られては、自分の秘密が知られてしまう、
ずっと隠してきたのだ。こんなことで水の泡になるのだけは避けなくてはいけない。
苦しみに悶える中で、そんなことだけを必死に考えた。
息ができない。
理由は一つ、
歌仙に腕を掴まれたことが引き金となって、思い出してしまったのだ。
幼い頃の、酷い虐待の記憶を。
父親は、幼い審神者が何をしても、無愛想だ、可愛くないと何度も殴ったし、風呂に沈めたり、ベランダに閉め出したりした。
母親は、そんな彼女を放置した。自分が標的になるかもしれなかったからだ。
あの頃の罵声が、生々しく脳裏に蘇った。
生前の記憶なんて、消してしまえればよかったのに。そう思うばかりだ。
「主、本当にすまない、顔を見て謝りたいんだ、出てきてくれないかい？」
歌仙の声が、障子越しに聞こえたが、応えられる状況ではなかった。
「主、どうしたんだ、何があった？」
「主君？」
「あるじさま、？」
「主どうかしたの？」
人が集まって来た。心配をかけている罪悪感も混ざって、余計に辛くなっている。
「やれ、主よ、どうかしたのか？」
落ち着いた声、三日月宗近だ。
「‥‥主や、泣いておるのか？
呼吸が速すぎるな、気分が悪いのか？
返事ができぬのならこの結界破ってしまうぞ。」
もちろん審神者の方に返事をする余力など残っていない。
「あまり、爺を侮らないことだな。」
三日月は一言そう言うと、計り知れぬ神威で結界を破った。
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梅雨月〈つゆつき〉(プロフ) - もちこさん» コメントありがとうございます！応援とっても嬉しいです！頑張って更新します！！ (2020年4月12日 22時) (
レス) id: fb62829e36 (このIDを非表示/違反報告)
もちこ(プロフ) - コメント失礼します！めちゃくちゃ尊いです…！無理しない程度で更新頑張ってください！！！！ (2020年4月12日 20時) (レス) id: 6cdbc3727f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：梅雨月〈つゆつき〉 | 作成日時：2020年4月9日 23時
