君までの距離 ♯２

episode〆58 ページ8

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＿＿阪神甲子園球場




香「練習時間等確認して、動いてくださいねー！」





香山さんの一言で、選手達は散らばった









『さてと、準備していきますかー！』





ただ今、絶賛阪神サイドの練習中





すると、１人の男の人がこちらに近づいて来てる様な気がした





目を細めてその人をジッと見る








『えっ！？とっとととと鳥谷様っ、』





思わず声が出て、周りに誰も居ないか確認




幸い周りには選手は１人も居なかった








敬「あのー」




鳥谷さんが誰かに話してる



けれど、誰も答えなくって辺りをキョロキョロする







敬「あの、ファイターズの職員さんですか？」





これって、私に話しかけてる？





『わっ、私ですか！？』



自分を指差して鳥谷さんに確認した







敬「Aさんしか居ないですよっ」



ふわりと笑いかけてくる鳥谷さん




『なっ、なななんで私の名前』





しかも、下の名前ーー！！！



そしたら、私の方指差す鳥谷さん







敬「これ。パスに名前書いてあったから。面白いね、Aさん」





『すっ、すみません…』




敬「いい、いい。笑 今日はよろしくね。挨拶しようと思ったんだけど誰も居ないから」






律儀に脱帽して、頭を下げる鳥谷さん
もう、ヤバイです。私の憧れの人。








『こっ、こちらこそよろしくお願いしますっ！あと、好きです！！』






敬「へっ！？」



拍子抜けた顔をする鳥谷さん





『あ、いや違うくて、その昔からファンでして……急にすみません、』





敬「あー、そういうこと。ありがとね。ちょっと、これいい？」




近くにあった、ペンとボールを手に取る鳥谷さん








『あ、はい。』




私の目の前でボールに何か書いてる鳥谷さん



私は首を傾げながらその様子を見ていた







敬「はい、あげる。じゃあ、今日よろしくね」




私にボールとペンを手渡してそのまま去って行ってしまった





ボールを握りしめて、鳥谷さんが去るのをずっと見ていて我に返ってふとそれを見た








『え"ーーーーー！！！』




手の平のボールを見ると紛れもなく鳥谷さんのサインボールだった








『かっ、カッコ良すぎる……』



はい、あげるってそのまま去って行って

クールって言葉が似合う人だった





？「Aーーーー。」





聞き覚えのある声っ……






『たっ、卓ちゃんっ！』




咄嗟にサインボールを体の後ろに隠した







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