君までの距離 ♯２

episode〆79 ページ29

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『香山さん……』





香「貴方が大事だから。ここに居て欲しいから。乗り越えなきゃいけない壁なんだよきっと」





『はい…、！』





香山さんに怒られて、目が覚めた





卓ちゃんとの事、黙っててくれてるのに上司を困らせるなんて




私ほんと最低だ








『香山さん、ありがとうございます。皆に嫌われた訳でもなんでも無いのに。私、気持ちが先走ってました』





香山さんには本当に感謝でしかない




よしっ！と言ってベンチへ入ろうとした時、香山さんが話を続けた








香「それとね…。最悪１つ案があるの。辛くなったらそうしよ。それはね……」







耳元で囁かれた







『えっ……。はい、じゃあ本当にダメになったら…』






香「うん！だから、今は目の前の事をしっかりしようね！新人の時みたいに、がむしゃらに頑張ろうよっ！」





と香山さんはニッコリ笑った






私たちは裏で試合を観戦し、裏に来る選手達のサポートなどをいつも通りこなした





試合が終わって続々と選手達が戻って来る



見事に勝利を飾り機嫌が皆良くハイタッチを交わしていく








『おつかれさまっ！みんな！』




なんか化粧取れてない？ってちょいちょいツッコミを入れられたけど笑って交わした







大将とハイタッチを交わした時、大将は立ち止まった





翔「A、もう大丈夫なんか？」





『あっ、うん！もう大丈夫だよっ！』





そっかって大将はロッカールームへ戻って行った





そっか。泣いてる所見られたんだ。



さすが、キャプテンだな。





大将の背中を見届けてたら、誰かに頭をポンってされた






卓「おつかれっ」



後ろを振り返ると卓ちゃんは心配そうな顔をしていた







『あっ…、卓ちゃんお疲れ様っ…！』




なんだか、遠い存在の人みたいにぎこちなくなってしまう








卓「なんで、化粧取れてんの」




私のほっぺを突く卓ちゃん






『あっ、えとー。眠かったから顔洗ったの！』




えへへと笑って誤魔化した





卓「そっか。ゆっくり休むんよ」




卓ちゃんは私の横を通り過ぎて行った








『あっ、うん……』




やっぱり、気づいてくれない…よね




もう期待なんてしたって無駄だし、気持ち切り替えていかないとね






明日から桐島さんと一緒に札幌に戻る





これからどうなっても、仕事と恋愛にはケジメをつけよって自分の頬をパチンと叩いた







『自分に負けるな…！』





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