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Aside
すぅーーっ、ふぅーーー。
改札を抜け、大きく深呼吸。
上京してきた私は、心を踊らせた。
さっすが東京。空気が美味しいっ！
……いや逆か、田舎の方が空気は美味しいのか？
ま、どっちでもいいや。
とにかく、私は初めての東京に浮かれていた。
「……ふっふふ〜♪……………ん？」
そのせいで財布を落とした。
私の悪い癖。
気分がいいとすぐ浮かれて、
何かを落として、
『…イタッ！』
だれかとぶつかって、
顔を上げたら怖い人で、
『ひぃッ………！』
声にもならない音をあげて、
怖い人に捕まって、
それから……
なんてこんなの日常じゃ絶対起きない！
ありえない！
………でも今起きかけてる。
声にもならない音はもう上げた。
目の前には怖いおじさん。
………黒いキャップに……尖った靴。
前の空いたスーツに……イカついサングラス....
ほぼヤクザ！てか絶対ヤクザ！！
ええぇぇぇ、どぉぉーしよ………
何でこうなる？
東京だから？
………東京怖すぎない？
とりあえず謝る？
考える前に体は動いてて、
『すいませんでしたぁぁぁ！！』
東京のど真ん中、私の謝罪が響く。
どうか、どうか命だけはっ！！
懇願しながら頭を下げる私の前に差し出されたのは、
拳銃……
ではなくて、
『私の財布！！』
おじさんはニッカリ笑ってグッとポーズ。
私は無事命拾い。
財布も無事見つかって、めでたし、めでたし。
そして、
おじさんは私を誘拐した。
何でぇぇーーー！？？
ぜんっぜん、めでたくないっ！！
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作者名：羊 | 作成日時：2024年1月17日 20時
