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「本当にここ行くの?」

君の瞳が惑いで揺れる

あれ?意外に怖がり?

「夜の学校ってワクワクしない?」

「…あんまり…しないけど…」

微妙な表情についつい芽生える悪戯心

僕はわざと声を顰めてみた

「ここってさ 夜になるとオバケが出るんだって」

「オバケ?」

咄嗟に離れる君の身体

眉間の皺がよりくっきりとする

「うん。まっつんのお姉ちゃんの友達の友達が見たんだって」

「随分遠い情報だね」

「まっつんは嘘付かないからきっと確かな情報だよ!」

「それで本当の事だって確定するのも変じゃない?」

自信満々に言う僕に

納得しないのか 君は首を傾げる

「君の友達が正直者でも そもそもの情報が間違ってるかもしれないし 友達のお姉ちゃんの友達の友達…めちゃくちゃ遠い関係性じゃん」

「え〜ノリ悪いなぁ。オバケ見たくないの?」

「ノリとかで見るもんじゃないでしょ?そもそも玄関開いてないんじゃない?」

…あっ…それもそうか…

一瞬 冷静になるけどオバケ探索のテンションに

そんなちっぽけな理由はすぐに掻き消される

「大丈夫だって!オバケ出るの校舎じゃないんだ」

「体育館?運動場?どっちにしても勝手に入るのはまずいって」

渋る君を横目に僕は再び手を握って

校舎脇の運動場へ続く細道を歩き始めた

夏休みの夜の小学校

今夜は部活も地域活動もないらしく

人影はなく何処もかしこも真っ暗で

シーンと静まり返っている

音を立てない様にゆっくりひっそり忍足

だけどメインではないその道は

夏の間に雑草が生い茂り行く手を邪魔する

ちょっとのはずなのに校舎に反響して

思いの外 大きく聞こえる音

それはまるで映画で見た怪鳥の鳴き声みたいで

思わず君の手を強く握り締めた

「結局君も怖いんじゃない?」

いつのまにか平静を保ってる君

形勢逆転されたみたいで少し焦る

「ち 違うよ。君が怖がるからこうしてやってんの」

「んふふ そう言う事にしとくね」

複雑な笑みをお互いに交わせば

辿り着いた目的地は古びた倉庫

昼間見る時は何とも思わないけど

年代物の錆や捲れが恐怖心を煽る

これは…本当に出そうじゃない?

「ここに出るオバケって…どんな奴なの?」

倉庫を一瞥して君がぽつりと呟く

「ん〜どんなんだったかな?」

「えっ?知らないの?」

「だってオバケの情報なんていらないでしょ?」

「いやいやいや それくらい知っとけよ!」

そんな僕らのやりとりに応える様に

倉庫の扉が勢いよく開いた


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作者名:青山白樹
作成日時:2021年1月11日 10時

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