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学校じゃない場所で過ごす流星との時間は穏やかだった。
流星はずっと優しい。「疲れてへん?」「トイレ行かんでも大丈夫?」「喉渇いてへん?」などとずっと声をかけてくれる。
半歩先を行く流星の背中は大きくて、こんな人と私が手を繋いで歩いているなんて不思議だと思った。
水族館の中で一番大きな水槽の前に来たとき、流星とはぐれてしまった。
人混みが一番ひどい場所で、互いに見える位置を探していたときに手が離れてしまったのだ。
「流星…」
一緒にいた人の名前を呼んだとき、目の前の水槽が見覚えのある景色に変わった。
運動場だ。桜の舞う、運動場。
私は1人ぼっちで、どこに行けばいいかわからない。
涙が出そうになった瞬間、優しい声が聞こえた。
ーーどないしたん?
「A?」
「…流星」
「泣いてるん?」
目の前に現れた流星の言葉に、驚いた私は自分の頬を触った。自分でも気づかぬうちに、涙を流していたのだ。
「ごめんな、怖かったよな」
流星は申し訳なさそうに私の手を握った。
でも私が泣いたのははぐれたからではなかった。
答えは、もう心の中にあった。
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Hana(プロフ) - ふわさん» ふわさん、コメントありがとうございます。一年ぶりの更新でしたが、楽しんでくださる方がいて何よりです。最後まで書き切ろうと思うので、よろしくお願いします。 (2020年6月7日 18時) (レス) id: 66a0eb112b (このIDを非表示/違反報告)
ふわ(プロフ) - はじめまして、ふわと申します。とても素敵な文章で一気に読んでしまいました。流星くんが切ないけど優しくて…これからの展開もとても楽しみです。素敵な時間をありがとうございました。 (2020年6月7日 11時) (レス) id: 1edcc49e12 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Hana | 作成日時:2020年6月5日 20時