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その夜、私は少し長めにお湯に浸かった。


今日起きた出来事を整理するには時間が少なすぎる。


ごちゃついた頭をさっぱりさせたくて、私は冷たい水で顔を洗ってお風呂を後にした。


スマホを見ると


【1件の不在着信 中間淳太】


私は思わずリダイヤルをした。


「もしもし?」


「もしもし、中間です」


低く落ち着いた声が耳をくすぐる。


「さっきお風呂入ってて出れなくて…何かありましたか?」


「全然ええよ。あー、あのさ」


中間さんは少しだけ息を吸うと「さっきはごめん」と言った。


「あんな態度取ってしもて…悪かった」


中間さんが謝ってる。なんか不思議な感じだ。


「…ふふ」


「何わろてんねん」


「いや、中間さんに謝られてるの不思議な感じだなあって」


「どういう意味や」


電話の向こうで中間さんがくすくす笑うのがわかる。


嬉しくなって、思い切って付け加えてみる。


「それに、また中間さんから電話が来て嬉しいです」


「…ほんまに変な子やわ」


少し力のない声で中間さんが返事したのを境に、私たちは無言になった。


微かに中間さんの部屋の音が聞こえて、同じ空間にいるような錯覚に陥る。


「木野さん」


「はい」


「Aちゃん」


「…へ!?」


突然下の名前で呼ばれて、変な声が出てしまう。


「なんちゅう声や。


また委員会でな、Aちゃん」


中間さんは再びくすくす笑って、電話を切った。


電話が切れた後も、私はスマホを耳元から離せなかった。


胸がどくんどくんと音を立てている。ずるいよ、中間さん…。

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ピノ - この作品すごく好きです!これからも更新頑張ってください!続き気になります。 (2019年4月21日 2時) (レス) id: ac20c79d28 (このIDを非表示/違反報告)
淳望 - ちょっと口調は強いけど、それでも言ってる内容がすごく優しくてそんな淳太くんにすごくキュンキュンしてます!この小説すごく面白いから大好きです!大変だと思いますが、更新頑張って下さい! (2019年4月13日 8時) (レス) id: 8286031f0a (このIDを非表示/違反報告)
Hana(プロフ) - にゃーさん» コメントありがとうございます!嬉しいです。引き続き更新頑張りますね (2019年1月24日 21時) (レス) id: 4d2980bd83 (このIDを非表示/違反報告)
にゃー(プロフ) - とても面白いです♪更新楽しみにしてます! (2019年1月24日 2時) (レス) id: 5a826c2c2f (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:Hana | 作成日時:2019年1月15日 21時

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