トーストと目玉焼きと、コーヒー２ (ページ6)

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顔の綺麗な青年は雨と涙でぐしゃぐしゃな私に近寄ると、私の顔をじっと見つめた。

あまりにも整ったその顔を前に、私は息を吐くことも忘れてしまいそうだった。

彼はしばらく私を見つめた後、玄関を去った。すぐに戻ってきたかと思うと、その手にはバスタオルがある。

「拭いて」

彼はそう言って私の頭にふわりとバスタオルを被せた。私には見えなかったけれど、彼の顔は少し赤くなっていたし、隣の男性はそんな彼を見て口元を緩めていたのだった。

私はバスタオルで頭、身体を拭いていく。微かな甘い香りに心が癒されていくのが分かった。

「ありがとうございます」

「さ、上がって」

バスタオルを返すと、隣の男性は私を部屋にあげた。少し進んだ扉の先に居間があった。ソファ、テーブル、キッチンが設備されたシンプルな間取りだ。

促されるままに席につく。目の前に置かれたのはホットミルクが入った大きなマグカップ。

「どうぞ」

「…いただきます」

湯気のたつマグカップに口をつけると、ほのかに甘みを感じる。ああ、美味しい。

美味しくて、温かくて、また涙が出そう…。

「泣いていいんやで」

私の気持ちを汲んだように、細身の彼がそう言った。彼の隣に座っている青年は、こくこくと頷く。

「…うぅ」

それからまた私は泣き出してしまった。温かい飲み物と、温かい２人の手に背中をさすられながら。