トーストと目玉焼きと、コーヒー２ (ページ45)

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「流星ってモテへんねん」

30分くらい走った頃、濵田さんがそんなことを言い出した。

「濵ちゃんよりモテるわ」

「こんなにイケメンやのに全然彼女できひんかったんよ」

濵田さんが話しているのは、私が出会う前の流星のことだろうか。きっと流星はモテないわけではない、好きになれる人に出会ってこなかっただけだと思うけれど。

「だから心配やってん。流星を支えてくれる人、見つけてほしいからな」

「…」

濵田さんの声色は穏やかだ。二人の関係を知った上で聞いたその言葉から、私は濵田さんの思いを感じ取れるような気がした。

流星が濵田さんを慕っているのと同じくらい、濵田さんも流星を大事に思っている。

「なんなん急に」

照れくさくなったのか、流星はへらへらと笑う。笑う横顔を見ていると、いつかのチャラい流星を思い出して吹き出してしまった。

「なんで笑ってるん」

「濵田さん知ってる？外での流星、めっちゃチャラいんだよ」

「やめて、言わんといて」

「詳しく聞かせてくれ」

綺麗な顔で甘い台詞を囁かれて、嫌な気持ちになる女性がいるだろうか。流星もまた、運命の人を探していたのかもしれない。

「何やそれ、流星そんなことしてたんか」

「脇汗やばい、もうやめてマジで」

真剣な顔つきで忠告する神ちゃん、心配そうな表情を浮かべる小瀧くんもいたっけ。

あの後、ごはんに誘われたんだよね。

あの日の小瀧くんはもういなくなっていたなあ、なんて窓の外を見ながら考えた。