89. ページ39
「どうですか、お味」
近くで声が聞こえて、私は驚いて手を止めた。小瀧くんはカウンターから身を乗り出して、こちらの反応を待っている。
「美味しいです」
「よかった」
小瀧くんはにこっと笑った。
「夜に駅で会ったこと覚えてる？」
忘れるわけがない。ただ返事をしづらくて、私は黙ってうなずいた。
「あのとき俺めちゃくちゃふてこかったよな」
「いや、私が返事しなかったから…」
「思い出したらすげー恥ずかしい」
小瀧くんは下を向くと頭を振って、前髪をゆさゆさと揺らす。
「女の子の前であんな態度取ったの、初めてやった」
そして、顔を上げる。吸い込まれそうなくらい、真っ直ぐ見つめられている。私は自然とフォークをお皿に置いてしまった。
「それくらい、好きやってん」
「…」
「Aさんのこと」
「…」
「今もやで」
小瀧くんの声は穏やかで、私の耳にゆっくり染みていく。
こんなに落ち着いた告白があっただろうか。
そう思えるくらい、小瀧くんも私も冷静でいた。
小瀧くんはしばらく私を見つめて、ふっと口元を緩めた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 331人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ジャニーズWEST」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
Hana(プロフ) - ベルギーチョコさん» ご指摘ありがとうございます。訂正致しました。 (2022年2月8日 18時) (
レス) id: 15a7584885 (このIDを非表示/違反報告)
ベルギーチョコ(プロフ) - オリフラ立ってますよ(コソッ) (2022年2月8日 16時) (レス) id: dabcd84e79 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：Hana | 作成日時：2022年2月7日 22時
