トーストと目玉焼きと、コーヒー２ (ページ26)

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「なあに？」

額に当たる大きな手は温かい。眠気さえ感じてしまう。

「長いまつげやなあと思って」

「ふふふ」

「何してんの」

今度は流星が部屋に入ってきた。結婚式だからもっと遅くなると思っていたのに。

「お取り込み中やった？」

「あほ」

流星はネクタイを緩めながら、ベッドに腰かけた。

私を挟むようにして座る二人を見て、今ほど心が落ち着くことはないと思った。両手を伸ばして、二人の服の裾をきゅっと握る。

「どうしたん？」

「甘えん坊さんやなあ」

同時に撫でられる頭がふわふわと気持ちよくて、また寝てしまいそうだと思った。

「私には濵田さんと流星が必要だよ」

「…」

「二人といるのが一番落ち着く」

「そうか」

閉じた目の向こうで、濵田さんが笑っているのが浮かんだ。きっと流星も笑っているはず。

だけど、実際の二人は眉を下げて寂しそうな顔をしていたんだ。

翌週の月曜日になっても、重岡さんから連絡は来なかった。

仕事忙しいのかな。私から連絡した方がいいのかな。

「A」

「…あ、何？」

昼休み中、そんなことをぼんやり考えていると、えりが私の顔の前で手を振っていた。

「あの人、この間の人だよね」

えりの指さす方、休憩室の入り口には同僚らしき男性と談笑している重岡さんがいた。