トーストと目玉焼きと、コーヒー２ (ページ20)

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「今日食べてきたんやな」

帰宅すると玄関先にはお風呂上がりらしい流星がいた。しまった、急な誘いで連絡するのを忘れていた。

「ごめん、急に誘われて」

「楽しかったならええやん」

流星はそう笑うと、ほなもう寝るわーと寝室へ姿を消した。

もしかして私の帰りを待っていたんだろか。連絡もしなかったから心配していたのかも。そんな風に冷静な思考が働いたのは、家の中に入ってからだった。

重岡さんとキスを交わした私は、そのあと触れ合ったおでこの熱に浮かされて、地面から足が浮いたような感覚で家路についていたのだ。

ああ、私は明日どんな顔をして重岡さんに会えばいいんだろう。

「おかえりー」

居間に行くと、濵田さんが晩酌をしていた。近くにはコップが３つある。

「今日食べて帰ってきたんやな」

濵田さんも流星と同じことを言う。乾いた状態の３つ目のコップは、私の帰りを待ち続けていたことを示している。

私は濵田さんの隣に腰を下ろして、残っていたビールを注いであげた。濵田さんは「おっととと」なんてふざけている。

「今の人いいかんじ？」

「んー、多分」

「そうかあ」

濵田さんは水滴がついたコップを眺める。少しくたびれた横顔からは表情が読み取れなかった。