トーストと目玉焼きと、コーヒー２ (ページ2)

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お風呂から上がると、流星は私がよく飲むフルーツサワーを用意してくれていた。

「気になる人でもできた？」

開口一番、流星は本題を放り込んできた。無駄に勘のいいやつ。

「あのイケメンくんより好き？」

「…かもしれない」

「ふうん」

流星は近くに置いてあった缶ビールに口をつけた。

私は整理できない感情を少しずつ吐き出す。

「…自分でもよくわからなくて」

「うん」

「小瀧くんの時は好きになるのが怖いとかあんなに考えてて」

「うん」

「重岡さん…って言うんだけど、その人のことはすぐに惹かれていったっていうか」

２人に大きな違いなどない。２人とも話しやすくて、素敵な人。だからそんな自分に戸惑っている。

口をつぐんだ私に、流星は「まあ…」と声を出した。

「それが恋やからなあ。理屈とかじゃないやろ。今、Aは重岡さんが好き、それだけやんか」

「うん…」

流星の言ってることはわかる。わかるんだけどそんな自分が受け入れ難いような気もして。

言葉が出ない私の肩を流星はそっと引き寄せた。

「何悩んでんの。やっと胸張って好きって言える人が出来たんやんか。頑張ろうぜ」

「流星…」

「気持ちは変わって当たり前。何か罪悪感でも感じてるんちゃうの？」

耳元で流星の穏やかな声がする。

流星が言う通り、私の脳裏にはいつだか小瀧くんの履歴書を見せてくれた濵田さんの顔と、居酒屋で顔を真っ赤にしていた小瀧くんの顔が浮かんでいた。