トーストと目玉焼きと、コーヒー (ページ41)

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濵田さんがジャケットを着ているのを久しぶりに見た気がする。

助手席で横顔を眺めながらそんなことを考えていた。

「今日、流星友達んとこ泊まってくるらしいわ。せっかく２人やし、俺とデートしよ」

目を細めた濵田さんに初めてドキッとした。濵田さんの目、こんなに綺麗だったっけ。

「どこ行くの？」

「昔よう行ってた店に行こうかなって。A、寿司好き？」

「うん、好き」

「よっしゃよっしゃ。ええもん食べて元気出そー」

車のワイパーが動いた音を聞いて、雨が降り始めたのだと分かった。

あの日も雨が降っていて、濵田さんが助けてくれた。

「もうすぐ着くで。お腹空いてきた？」

「うん、楽しみ！」

いつか濵田さんに、恩返ししたいよ。

濵田さんが連れてきてくれたお店は、高級ホテルの中にある料亭だった。海鮮料理がメインで、どの料理もすごく美味しかった。

「あれ、濵ちゃん久しぶりやん」

デザートを待っている間に、スタッフと思わしき男性が話しかけてきた。栗色の髪の毛に大きな瞳が特徴的で、スーツを纏った手脚はすらっと長い。

「ああ淳太、久しぶり」

「…え、彼女？」

淳太と呼ばれた男性は私を凝視する。こんな大きな瞳に見つめられては照れてしまう。