トーストと目玉焼きと、コーヒー (ページ38)

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「何着て行ったらいいんだろう」

私は分かりやすく悩んでいる。そう、明日が小瀧くんと映画デートする日なのである。

普段の私はわりかし可愛らしい格好をするのが好きで、どちらかと言えばそっち路線だと思っているのだけれど、小瀧くんのタイプはそうじゃない気がする。

でも、この間はパーカーにジーンズなんてラフな格好だったし。あまり服装は気にしないタイプだろうか。いや、飲みと映画はまた違うか。

「心の声全部漏れてんで」

「へ！？」

声がしたので扉の方を向くと、流星が顔を覗かせている。ノックしろ、ノックを。

「本気で悩んでる。何着て行くべき？」

「普段通りでいいやん」

「いや、小瀧くんの好きな系統が分かんないからさ…」

もしかしたらぴっちりニットにスキニーを合わせるお姉さんが好きかもしれないじゃん。絶対似合わないけど。

うんうんと唸る私を、流星はボーっと見つめていた。そして何か口にしたかと思えば、

「恋やな…」

「は？」

と言って姿を消した。

恋、してるのかな…。

流星の発言に首をひねっていると、またすぐに流星が扉から顔を覗かせた。

「ええもんあげる」