トーストと目玉焼きと、コーヒー (ページ37)

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今度はごはんだけじゃなくて、お昼から遊ぼうということになった。

「何かしたいことある？」

「んー…」

デートなんか久しぶりだから何がしたいかわからない。太陽くんといた頃は何してたっけ。

平日は会社帰りに飲みに行って、そのままどちらかの家で過ごした。週末はドライブして綺麗な景色を見たり、その土地の観光をしたりしたなあ。

ちなみに、小瀧くんは運転免許を持ってないらしい。

「もしもーし？聞こえてる？」

「あ、うん。色々考えてて」

「いや、考えすぎやろ」

電話口で小瀧くんがくすくすと笑う。

「映画とか観に行く？」

「あ、いいね。最近観てないから行きたい」

「今何の映画やってるんやろ」

小瀧くんの無言が始まったのは、きっと今上映している映画を探してくれているからだろう。

何でも任せてしまうのは悪いので、先日CMで見た映画を提案してみた。

「それ俺も観たいと思ってた！行こ行こ」

顔は見えていないのに笑顔の小瀧くんが目に浮かんで、自然と頬が緩んだ。

「Aさん」

「ん？」

「…ううん、何でもない。いつにしよっか」

一瞬だけ、小瀧くんの声色が変わった気がした。