トーストと目玉焼きと、コーヒー (ページ35)

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「えっ、待って待って」

黙って話を聞いていた濵田さんが、両手を広げて私と流星の間に入る。

「告白されたん？」

「いや」

「じゃあまだ付き合うかどうかわからんやん」

「…あ」

濵田さんに指摘されて身体中が熱を帯びる。まるで告白される前提でいたなんて自意識過剰にも程がある、恥ずかしい。

黙り込んでしまった私に、流星は２つ目のおにぎりを差し出した。

「お姉さん、考えすぎ。びびりすぎ」

「…」

「リハビリに俺と付き合う？」

「えっ？」

流星のとんでもない発言に顔を上げると、すかさず濵田さんが流星の頭をスコーンと叩いた。

「あかん！お前が一番信用できひん！」

「ひどない？ずっと一緒に住んできたのに」

「せやから言うてるんや。流星もちゃんとしたお付き合いしなさい！」

「そういう濵ちゃんもバツイチのくせに」

「そんなこと言うて！お前はバツイチどころかバツジュウ付くかもしれへんぞ」

多分、２人は酔っているのだと思う。目の前で繰り広げられる小競り合いを微笑ましく見守れるほど余裕がなかったので、そっと風呂場へ向かった。

「考えすぎ、びびりすぎか…」

脱いだブラウスからは微かに小瀧くんの香水が香った。